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Re: ひとびと ( No.30 )
日時: 2012/10/08 11:19
名前: 音羽 (ID: fE.voQXi)

第二十一話

あのさ、ユーリ。今思ったんだけど。

「ん? どしたのアリス」

いやあ。今ってもう夕方ちかくだよね?

「そうだね。もうあの4人も帰っちゃったし」

今からあの二人の家、行くの?

「そうだけど? 何?」

ここから森の中って、結構な距離あると思うんだけど……。

「え? 何言ってんの? 私の家からだったら10分もあればつくよ。ここからだったら本当にすぐ近く」

「はい? なんですって?」

「だからすぐつくって」

でも私は少なくとも、森を出るのに一日半はかかっていたわけで。アビーニャさんに教えてもらっていなかったら、ユーリたちの宿にもたどり着けなかったわけで……え?

「じゃあ何? 私はえんえんと無駄に歩いてたってこと?」

なんかむなしくなってきた。
ユーリはちょっと肩をすくめて、

「仕方ないと思うよ? だって初めてでしょこの国」

分からないことが多すぎるぞこの国は。
そうこうしているうちに森へと入り。

「ほら、ついた」

早すぎるだろこれ……。

とんとんっと小気味のいいノックの音とともに、歯切れの良いカナさんと思しき声が聞こえた。

「お邪魔しまーす」

遠慮のかけらもないなあユーリちゃん。