コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

ココロの鎖 ( No.2 )
日時: 2012/05/14 21:48
名前: ミケ (ID: l/9ga28M)

ココロの鎖


中学になって急に存在感を増したあいつ。小学校よりも中学の方が人数が少ないから、その分男女の距離も近くなる(?)から当たり前と言ったら当たり前。そのちょっとした変化に、私はやられてしまったのかもしれない。

神谷中はクラスが二つしかない比較的小規模な中学。生徒はそのほとんどが小学校からの持ち上がりの為、気心が知れた仲間が多い。そんな中学の小さな体育館の中で、私はぼんやりと座っていた。バスケ部に入部した為、体育館はすごく身近な場所だ。練習前のフリーシュートの時間。ボールがたてるダムダムとした低音が耳につく。その音が私のすぐ後ろでしたから、私は振り返った。目に入ったのは黒地にピンクのラインが入ったバスパン。
未玖みく、どうしたの?」
「フリーシュートしないの?」
「うん。」
「ふーん。」
じゃ、わたしも休憩しよーと言って未玖は私の横に座った。私は何となく自分が着ている体操服に目を落とす。サインペンで書かれている「桜花 真梨(おうか まり)」という名前。自分で書いたから、少し斜めになっている。それから隣に視線を泳がせる。バスケのTシャツとバスパンを着て、すっかりバスケ部らしい未玖。Tシャツの肩の部分に城で谷野たにやと刺繍してある。
「未玖、そのTシャツ、谷野って 書いてある。」
あ、これ? と未玖が自分の服を引っ張った。
「お店でやってもらったんだ。入部フェアとかいってさ、無料だったんだ。」
ニコニコで話してくれた未玖。私は壁に寄りかかって、体育館の上の方にある窓から外を見た。山の隣の学校だからか、木が見える。夕日が木の葉をキラキラと緑に輝かせている。
「いいなぁ。私も早くバスパンとか欲しいよ。ねだろうかな。」
「ねだれねだれ。本当に必要なんだしさ。」
「うん。帰ったら言ってみる。」
入部してからまだ一週間だから、バスケ用具なんて揃ってない方が普通のような気もする。でも、部活なんだし親にねだっても悪くはないだろう。
ピイィーー!!