コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- ココロの鎖 ( No.3 )
- 日時: 2012/06/21 14:27
- 名前: ミケ (ID: G2fsKg0M)
体育館に入って来た先生が笛を吹いた。集合だ。今日は会議の都合で部活時間が短いらしい。
「五時下校、か。」
時計を見た。部活は後四十五分しかできなかった。
夏にはまだ早い為、五時といえども道は薄暗かった。部活の運動量に慣れていない為、私の足はフラフラだ。
「だっはぁ〜! やっぱり部活はきついねぇ!!」
いきなり未玖が言った。
「だっはぁって…おっさんみたいだよ。」
「いーのいーの。気にしない。」
「気にするの。青春真っ只中の中一女子がいう事じゃないでしょ。」
「いーいーのぉ! どうせ二人だけじゃないかぁ!」
かたいかたい、と言って未玖は伸びをした。それにつられて私も伸びた。夕方のひんやりとした空気が身体中に巡って気持ち良かった。
部活が始まった事で、一日の早さが格段に上がった。毎日毎日、勉強して部活をして、へろへろで家に帰った。あっという間に体育祭が終わり、テストを終えた。
そして、夏が来た。
ジリジリとした太陽光線が肌に突き刺さる。蒸し暑く、応援の声が響き渡るいつもの体育館。いつもと違うところは、他校がいるところ。保護者の人達がいるところ。
三年の先輩の夏の公式戦。私は精いっぱい応援した。男子チームも応援してくれている。
三年間練習試合して来た、他のどの体育館よりも思い出が詰まった体育館。
そこで、先輩の引退は決まってしまった。
「お疲れさまです。」
なんて、言えなかった。先輩たちはただ泣いていて、とてもそんなことを言えるような雰囲気ではなかった。
「……だからここでは試合したくなかったんだよ…。」
泣きながら一人の先輩がつぶやいた言葉が、やけに大きく響いた。
それからしばらくは、三年生がいない体育館が無駄に大きいような感じがして仕方がなかった。
「つまりさ、いい先輩達だった、て事でしょ?」
「そう、だね。」
「いーじゃん、別に。体育館広く使えるようになったから。」
少し寂しいけどね、と付け足した未玖。横顔が一瞬悲しみで満ち溢れているように見えた。
「次は、私達と二年の先輩のチームだね! 頑張ろ!」
未玖の背中を軽く叩いた。