コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

ココロの鎖 ( No.5 )
日時: 2012/06/23 18:24
名前: ミケ (ID: G2fsKg0M)

鈴谷廉。あいつは変な奴だ。いつもワイワイ系のグループにいると思ったら、一人で何かしてたりする。たいていは、二人組、少人数でいることが多いみたい。
ボキッ
「あ……。」
シャーペンの芯が折れて作業が一瞬止まった事気付く。いつのまにか廉の事を考えている事。授業をただ受けているだけなのに、廉は私の席の右前にいるから視界に入って考えてしまう。バカみたい。なんであんな奴の事なんか考えているんだろう。あんなナルシスの奴の事なんか。
「きりーつ。」
「あ。」
そんな事を考えていたから号令にワンテンポ遅れた。目立ちはしないけど何か嫌だ。
「…調子狂うなぁ。」
「何が?」
「ぅわ…! も、びっくりさせないで。」
いつのまにか未玖がすぐ隣にいた。全然気がつかなかった。
「別に驚かそうなんて思ってないよーぅっだ。」
「分かってるよ。次はお昼ご飯?」
「そうともさ!!」
未玖が私の机にいきおいよく教科書を叩きつけた。周りの人が何事かとこっちを向く。
「次は待ちに待ちすぎて首が伸びすぎた私の腹に美味しいという刺激的な刺激をくれる、素晴らしく幸せな時間だ!!」
「うん。…未玖?」
「何?」
「目立ちすぎ。お腹減って声のボリュームが変になってる。」
未玖はあ〜とだけ言って教科書をしまいにいった。
「っく。」
「え?」
声のした方を見ると、廉がいた。
「何?」
「いや、あいつ。未玖って面白えな。それだけ。」
「…そーだよね。」
何だかわからないけど、私は返事をするときに少し悲しいような苦しいような、変な気持ちになった。心に薄暗い色の薄いもやがかかった感覚。これは一体なんなんだろうか。そしてなぜか、私はこの事を未玖に一言も伝えなかった。