コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

1-3 ( No.3 )
日時: 2012/05/18 22:38
名前: 奈未 (ID: eahZ4LLD)


*俊祐side*

足元で、枯葉がカサカサと音を立てた。
木々が緩やかな風になびく。公園の時計に目をやった。

午後5時45分。

あたりはいつの間にか暗くなり始めていた。

俺は今日撮った写真を確認するために、ベンチに深く腰を掛けカメラをいじる。

あたりの木々はすっかり枯れ枝になっていた。
少し前までギリギリに保っていた枯葉も、ついにギブアップしたようで、今は地面に落ちて風に吹かれゆるゆると移動している。

足元に落ちている数枚の枯葉を見つめ、俺はカメラを構えた。

ピントを合わせ、シャッターを切る。

パシャッ

小気味のいい音とともに、画面に写真が写しだされる。
数枚の枯葉と自分の足。

俺は、しばらくその写真を見つめ、そして消去した。

ベンチにもたれ掛かり、空を見上げ「ふぅ〜」と長い溜息を吐いた。


空は、灰色の曇天だ。
自分の心情と少し似ている気がした。

写真を撮るのが好きで、専門の学校にまで進学したのに何もかもが上手くいかない。

撮るのが好きでも、才能がないと駄目だ。

自分にはないのだろうか。


また、風が吹く。

今度は、さっきのよりかなりきつい奴だ。

カメラを仕舞い、ゆっくりとベンチから腰を上げる。


俺は、ボーッと空を見上げながら公園を後にした。