コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 【真】ツキシマヒロトの愉快な部活! (Re:make) ( No.20 )
- 日時: 2012/08/22 10:53
- 名前: 藤田光規 ◆bh.mYRAeMo (ID: OXm6els4)
- 参照: 花火「作者は今、期末テスト期間だよ。更新頻度は遅くなりそうだね。」
「グッモーニン!ニセカラスくん。お目覚めはどうだ?」
空土は倒れている不良に馬乗りになってから前髪を掴むと相手の頬を数回軽く平手で打つ。「おっ、お前は・・・。」と不良は目を開けるが、さっき延髄切りをされたからだろう。瞳孔の輪郭がはっきりしていない。
「あっ、俺?俺の名前が知りてェの?だったら教えてやらァ。」
空土は立ち上がり、制服の裾をピシャリと直してから自分の胸へ親指を突き立てた。
「俺は律狩中学二年C組、西首空土だ。剣道部副部長で律狩最強の人間だァ!」
「あくまで『自称』ですけどね・・・。」
花火はいい顔で茶々を入れる。
「うるさいぞ花火っ。生徒会長にケンカで勝ったんだ。最強と言えるだろうが。」
「言いません。それは了見が狭いと言うんです。」
「・・・まあ、それはさておきっと。」
空土はむちゃくちゃなところで話を止め、再び不良へ向き合った。
「やいコラ、ニセカラス。」
「はっ、はいいいい!!」
男の返事を確かめてから一人頷く。そして隠していた刀に手をかけると目の下を黒く染め、Sっぽい笑みを浮かべた。
「おめェが“あいつ”の名をかたるマガイモノってことは俺の耳までもう入ってんだよ。死にたくねェなら全ー部白状しろ!」
シャキッ!そこで刀の鞘を抜き払うと白い音と共に目に突き刺さるような刀身の輝きが現れた。
ニセカラスは諦めたように半身起きあがった姿勢から頭を伏せると長い吐息をもらした。
「よっしゃ、んじゃ帰ろうぜ。」
空土はバカに明るい声を出して踵を返した。花火も友美も空土の後に続いた。僕もそう倣おうとしたときだ。
・・・・・・冷や汗が背筋を滑った。
僕だけだろうか?正体の分からないがものすごい戦慄を覚えたのは?背後から信じられないほどの殺意を感じたのは。そしてはっきりと聞こえる低いため息。
「————相変わらずあめーんだよ・・・・・・。」
空土でも花火でももちろん友美でもない低い呟きが後ろから聞こえた。背中に冷たいものが走る。
振り返ると本当に全身真っ黒の格好をまとった男がこちらを睨んでいた。その手には見慣れた色の棒。竹刀。さっき空土が痛めつけた不良の姿でもない。
僕が声を発そうとした時だ、男は突然竹刀を振りかぶり、まだ背中を見せているを空土に向かって思いっきり振り下ろす。
だが、空土は気配を察したらしく、振り向きざまに刀を鞘に収めたままその斬撃を止めた。
「やっぱおめェかよォ・・・。モコ。」
空土は真っ黒な男を呆れた目で見ながらため息まじりで言った。男が不敵に笑ったのが見えた。