コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: 【真】ツキシマヒロトの愉快な部活! 【剣道部】 ( No.26 )
日時: 2012/08/22 10:54
名前: 藤田光規 ◆bh.mYRAeMo (ID: kG6g9hX2)
参照: 花火「おかげさまで新章突入だよ。ありがとう。」

キーンコーンカーンコーンとベタな調子の鐘が校内へ鳴り響いた。僕が剣道部に入部して7日目。つまり一週間を向かえる日だ。叶うならば記念パーティーなどして貰いたいが、それほど僕は他人へ強要する人間ではない。

さきほどのチャイムは一日の授業が全て終わったことを知らすものだ。普通の人ならばこれで一日の終了と考えるが、とんでもない。剣道部の僕にとってこの時間から一日は始まり、今までの授業は準備体操のようなものだった。

生徒は三々五々、教室から出て行く。転校して一週間だ。僕も剣道部以外の友達も出来てきた。「じゃね」と手を振る数人を見送り、鞄に教科書を詰め、教室を後にしようと席を立った。が。

「あっ!博人くん!待ってよ!」
慌てて駆け寄ってきたのは友美だ。一年B組の同じクラスということは少し前に触れただろう。カラフルなリュックを背中に下げ、スキップのような足取りで僕に近づいてくる。

花火が何度も言ったとおり、友美は基本バカだ。それと生来のお人好しの性格が相まって友美は誰にでも話しかける。時に煩わしく感じる。今もだ。二人並んで歩くのを生徒に妙な目で見られる。正直勘弁して欲しいが、しゃべりかけて貰っている立場がそんなこと言えるはずもなかった。

「ね?博人くん?拳正さんからのメール届いた?」
「ああ・・・。えっと。はい、届きました。」

友美がいうメールとは今日の朝届いたものである。内容は「授業終了後、集合だ」のこと。こんなことは初めてで何かイベントがあるということは明白だった。

「おい、二人とも待ってよ!」「友美、私を置いていくおつもりですか?」

と、横の教室から出てきたのはE組の花火とあやめだ。E組はいわゆるエリート組の集団で頭がいい生徒が入るらしい。花火の話によると『浮世のいざこざがどうにでも良くなるほどのLV』のようだ。悟りか何か開けるのであろうか?

「突然ですが友美。集合命令は届いてますか?」
「うん。ちゃんと。何があるのかな?楽しみだね!」
「アホは脳天気でいいな、おい。」
花火は頭をかく。
「ちょっと花火!どういう意味!」
「や、ケンカ売ってるわけじゃないんだ。だけどあの拳正さんだぜ?ろくなものの可能性は限りなく低いよ。」
「・・・・そうかな?よく分かんないや!」

そこで花火はゾコッとこける仕草をした。クールな花火がそんな新喜劇みたいなことをするとは思えなくて、少し可笑しくなった。無論、笑っている僕の表情は見られないようにと隠したが。

「なんだい?博人くん?どうにかした?」
「いや。何でもない。早く行きましょう。」
「そうだな。うん」

いつの間にか靴箱の前に辿り着いていた。どうなることやら、と呟き、自分のスニーカーを取り出した。



第一章 「ツキシマヒロトの愉快なポジション争奪戦」開幕。