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Re: 【真】ツキシマヒロトの愉快な部活! 【剣道部】 ( No.29 )
日時: 2012/08/27 14:39
名前: 藤田光規 ◆bh.mYRAeMo (ID: 7gBpjPib)

「イーチ、イーチ、イチニ。イーチ、イーチ、イチニ・・・・・」

体育会系特有の野太い声を上げながら野球部が運動場を走っていく。

ここ律狩中学校は文化系体育系ともに部活動が盛んで、それらに使用される特別教室や道具、設備などはかなりの一級品だ。
中でもグラウンドはかなり広く、一週400mという一般競技場なみの面積を誇っている。そこに、野球部、サッカー部、ラクロス部、テニス部、ラグビー部、カバディ部(?)などの数々の部活動がひしめき合いながら毎日練習に励んでいる。故に場所とりは命がけなのだ。

そんなグラウンド組と比べて我らが剣道部はかなり恵まれていると言えよう。現在、武道場を利用している部活動は剣道部ただ一つだけだ。しかも、剣道部は自称:学校最強たる西首空土に、『八汰烏』:切妃亦紅を要している故、乗っ取ろうと考える輩もいない。まあ、言えば武術系統の部活等なら柔道部、空手部、テコンドー部などがあるが、それらは「武術研究部」と名を改めて学校の敷地、不特定の場所で稽古に努めているらしい。

尚、彼らはそんな惨めな状況に満足するわけなく、100人の大軍勢で武道場へ殴り込みをしたが、当時一年生の空土とそのときの部長に3分足らずで制圧されたというとんでもない逸話が残っている。



ちなみに今言った情報はあやめが話してくれたものの受け売りなのだが。

さて、リアルの世界にもどそう。生徒玄関を出、武道場に向かっていたのだが、眼前に来たところで突然友美が「あっ!」という声を出して立ち止まった。 ?

「どうしたんだ?友美?幻覚でも見たか?」
「いや違うよ花火!!靴がっ!靴がっ!!」
「画鋲でも踏んだか?」
「違う!見てよあれ!!」
「「「 あれ??」」」

友美が指さしているのは武道場の靴箱だった。靴箱は靴を入れるためのものだから、当然、靴は入っている。

「友美。とうとうお前は・・・。」
「だ・か・ら!違うって!よく見てよ!靴が二個!」

「博人くん。行くよ。バカに付き合っていたらろくなことは無い。」

そう言って花火は歩き出す。僕もそれに倣った。あまりにないがしろにしすぎだが、実際、僕も意味が分からなかった。

「・・・・・本当ですね・・・。」

とだ。あやめは腕を組んで頷いた。どういうことだ?
「あやめちゃん・・・。とうとうあんたも友美病が・・・。」
「友美病って何!!」

「違いますよ。花火くん。分かりませんか?あの違和感を。」あやめは眼鏡を押し上げる。

「違和感?ただ靴が並んでいるだけだろ?空土さんと拳正さんのじゃないのか?」

「違います。空土さんのは蛍光色の黄色、拳正さんのは無地の白。あそこに並んでいるのは・・・。」

・・・そうだ。見ると二組ある内の一つは下駄で、もう一つは赤と黒のスニーカーだ。遠巻きにでも分からないでも無いが、相当の観察力が必要になるだろう。花火はやっと理解したらしい。が、

「それがなんのためになるんだい?靴が二個違うのあったって、生徒会の調査かも知れない。顧問とコーチの野郎が来ているかも知れない。いくらでも他の可能性はあるだろ?」
流石は花火。こんな無意味な疑問にも難しいことを考えている。
「それを今確かめるのです。」

あやめはそう言い切って靴を脱ぎ、扉の前に立つ。

が、手をかけない内に中からドアが開き、二つの人影が僕たちの前に立ちはだかっていた。