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- Re: 【真】ツキシマヒロトの愉快な部活! 【Re:make】 ( No.31 )
- 日時: 2012/08/31 09:29
- 名前: 藤田光規 ◆bh.mYRAeMo (ID: OXm6els4)
「あっれー?もう来ちゃった?早いもんだね〜。」
まず突拍子のない声を出したのは背の低い方の男だった。パジャマを思わせる水玉模様のダルッとした服に、これまた水玉で、頭部のほとんどをかくす帽子を被っていた。人の良さそうな顔。
「へっ!?えっと!あのっ!!?」
友美は、哀れに思えるぐらいうろたえている。当然のようにあやめと花火は至って冷静に「誰ですか?」「あンた誰?」と聞いた。
「そんな怖い顔しないでよ〜。ねっ、隼威?」
水玉模様の男はもう一人を振り返る。後ろの背の高い男は首肯した。見るとそちらも結構異色な格好している。
水色の学校ジャージを藍色に染め、しかもあちらこちらを切り縫いして、剣道の胴着風(どんな風?)にアレンジしたのを着用していた。
「ビビリすぎだ。もっと落ち着け。肩の力を抜いて俺たちを見ろ。・・・俺はおめらの先輩だぞ?剣道の。」
と言いながらも、その声は低くて冷たい。イコール威圧感マックス。・・・・と待て。少し待て。大事な事を言わなかったか?しかも、至極不自然な。
「すいませんが、・・・先輩?でいいですか?」
「ああ。」
「剣道部・・・・なんですか?」
「ああ。」
背の高い方は返事をした。やはりだ。というか武道場から出てきただけで十分に推理出来るのだが。
「んじゃさ、君ら。」
と背の低い水玉模様は口火を切った。
「とりあえずは中に入ってよ。ゆっくり話したいことがあるんだから。」
花火がはい、と返事をして、一足先に武道場へ上がる。当然、僕もそれに倣った。
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「では、まずは自己紹介だ。」と口火を切ったのは背の高い方の男だ。改めて見ると、確実に180はある。
「俺は王生 隼威(イクルミジュンイ)。この学校の三年生だ。去年部長をしていた。よろしく。」
そりゃ大層な肩書きで、と普通にスルーしようとした。だが、何か引っかかったような気がする。
「あの・・・・。前代部長さん・・・?ですか?」
僕が問うと、首肯。もしや・・・・。
「博人くん・・・・。」
と横であやめがささやく。何ですかも言う暇も与えず、「この人が例の大軍勢を空土さんと一緒に制圧した・・・とんでもなく強いと噂のお人です。」
えええええ!!と僕は声を上げそうになった。ここで奇声を上げれば第一印象最悪だ。こらえながらもあやめに軽く会釈をした。
そう言われれば、この前代部長・・・隼威はいわゆる「猛者」っぽい雰囲気だ。つり上がった鋭い目、高い鼻、怪しくゆがんだ口許。こんなに使い古された形容句でも十分に表しきれない。流石元部長。敬服の至りです。
と、僕がおかしなところで感服しているのをことごとくよそに、話は進んで行く。今度は水玉模様の番だ。
「僕は浮槻 遊楽(フツキ ユラク)。三年生。元マネージャーだよ。遊山の遊に楽勝の楽で遊楽。よろしく。」
そこで水玉いや、遊楽はビシッと人差し指を立てた。隼威とはうってかわって、この人からは圧力というものをまるで感じない。ある意味凄い。と、そこで友美が僕に囁く。
「落語家みたいな名前だね・・・。」
流石に今度は噴き出してしまった。三年生の二人は怪訝な顔をする。・・・・このことは後で花火にチクっておこう。