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Re: 【真】ツキシマヒロトの愉快な部活! 【Re:make】 ( No.33 )
日時: 2012/08/31 09:33
名前: 藤田光規 ◆bh.mYRAeMo (ID: BUG11FhX)

「よォ!久しぶりだな!空土!」
「来ンなら来ンで俺に言やァいいのによ。したらもっと上手い歓迎の仕方があんだがな。」
そう言って空土は頭をかいた。突然軟化した隼威の態度に僕は辟易しながらも僕は聞いた。

「空土さん。ちょっといいですか?」
「ん?なんだ?」
「今日拳正さんから何か伝言貰ってないですか?」「いやァ、何も言われて無ェぜ?」

不思議そうに空土は真顔で言う。まさか拳正が空土に何も言ってないとは。意外だ。うろたえている僕を見かねてか、あやめが助け船を出してくれた。
「私たち一年は拳正さんから『授業終わったら速攻で来い』と連絡を受けてるんですよ。空土さんが知ってないとは、妙ですね。」

あやめはそう言って屋外を確かめる。拳正の姿は見えなかったようだ。
「・・・・・私たちは・・・・。」
背後から突然、消え入りそうな雪乃の声。希薄な存在感のためか、すぐ後ろにいると分からなかった。びっくりした。雪乃は続ける。
「・・・・私たちは・・・何も・・・・・連絡は・・・受けてません・・・・・。ちょっとおかしいですね・・・・・。」
・・・はいそうですね。僕は首を縦に振る。『私たち』というのは雪乃自身と詩子、そして灯の三人の事だろう。雪乃の言うとおり、本当におかしい。

「ちょっ!ちょっと花火!博人くん!見てこれ!」
友美が突然騒ぎ出した。どうせ意に介すことでは無いだろう。花火もそう考えたのか僕に視線で『無視しろ』と合図を送った。

「ホントに大変なんだって!!ほら!読んでみてよこれ!!」
そう言いながら友美が僕にアクセサリーいっぱいの携帯を押しつけた。はっきり言って本体より小物類の方が大きい。しきりに友美はディスプレイを指し示している。

なになに?読んでみよう。メールのようだ。差し出し人は「任内拳正」。新着メールか?そう思ったが、残念。僕が貰ったメールとまったく同じ書面だった。すなわち、「授業終了後、集合だ」とのこと。はあ・・・。ため息をつく。

「・・・・・。友美さん、いくら僕とはいえ、怒る時は怒るんですよ?」
「違う違う!よく見てよ!この下あ!!」

下??ディスプレイを再び見る。凝視するとも言っていいほどに。画面がスクロールされるとこのような文があった。

『追記:ここからは他の奴には送っていない。これをちゃんと野郎らに言うことだ 。今日はメンドーな奴が武道場に来る予定だ。絶対に会うな。そのため、集合は一年専用玄関前にする。できるだけ上級生に目を合わせないようにしろ。なお、前述の通り、絶対にこれを他の奴にも言うこと。』
「うわあ・・・・。」

あやめが吐息を吐いた。知らぬ間に携帯を握っている僕の周りに全員が集まっていた。
「友美い!!!!!」
花火の怒号が耳にぶつかった。友美はわずかに肩をひくつかせる。
「これ僕たちに言わなきゃいけないだろう!!あきらかにお前の責任だろうが!!」

「ごめんって!悪気は無いんだし・・・・。」「うるさいっ!日頃お父さんに言われてるだろ!『何度も確かめること』って!」
「花火くん。あまり友美を責めないでやって下さい。なんなら気配りが出来なかった博人くんが悪いってことに。」
「なんで僕う!!?」
「あやめちゃんは黙ってて!」
「花火くん、今のあなたには“愛”を感じないよ。もっと友美という一人のお姉さんを愛してみて。」
「愛せるか!!マザーテレサ並の寛容さだろうが!!」
「・・・・有罪判決・・・でませんか・・・・・?」
「ふぉんな時こそ腹いっぱいにしよー!」
「雪乃と灯はそもそも論点がズレてるんだよ!」

一年は一年でめいめいに騒ぐ。もみくちゃだ。そこに入ってくるは遊楽と隼威だ。
「ねえ・・・?空土?もしかしてメンドーな奴って僕のことじゃないの?」
「しかも遊楽だけならともかく、何故俺も第一級注意者なんだ?聞かせてくれよ。」
「ちょっ、ちょ待てやユウ、ジュン。こいつはケンの野郎がだな・・・。」
空土は珍しく狼狽しているようだ。ひきつった笑みのまま両手をブラブラ振った。

「って!ちょっとみんな!落ち着いて!!」
友美は大声で皆を収めるように言った。それから花火に「お前が仕切んな。」と頭をはたかれていた。
「こうしてる暇はないよ!多分拳正さんは・・・・!」

「・・・やべっ!!」
始めに空土は駆けだすと、皆はそれにつられたように走り出した。最後に残ったのは、
頭を膝にうずめた遊楽だった。