コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 【真】ツキシマヒロトの愉快な部活! 【Re:make】 ( No.50 )
- 日時: 2012/08/22 14:10
- 名前: 藤田光規 ◆bh.mYRAeMo (ID: rYvWlEkT)
「へ〜。こんなクレーター初めて見たよ。」
花火が感嘆の声を漏らす。
「こんな大きいものアメリカしかないと思ったけど、驚きだよ。」
あやめも手を目の上にかざして、
「本当ですね。軽く見て・・・・半径30m、深さ5ぐらいありますよ。」
「すごいね!観光地だね!!」
「こんなところにスポットがあるなんて知らなかったよ。私の学校への『愛』もまだまだです。」と、最後のは詩子。あなたは微妙に論点が違うんです。
「・・・・で?遊楽先パイ。」
見下ろすような視線を花火が送る。余談だが、花火の方が15cmほど背が低い。「この試練のクリア条件は?」
「あ〜。そうだったね。あれ見てよ。」
クレーターの向こう側あたりを遊楽は指し示した。見ると・・・・なぜか甲冑をつけた人がおのを振り回し、大声を上げながらクレーターを駆け下りている。なんだあの人は?クレイジーか?
「血だァァァァァ!!俺に血を吸わせろォォォォォ!!」
と、絶叫している。ふと後ろを振り返ると皆、餡子に落ちた死神を見るような目になっている。
「・・・・イタい人だな。」
「・・・・・・ですね。もっと設定・・・・作って欲しいです。」
「ふぁふぁしふぃたいにふぁんか食べふぇるとか〜。」
灯が突然口を開いた。その手にはポテトチップス。どこから取り出した?
「すっ、素晴らしい!!素晴らしすぎる!!」
今度は詩子が絶叫だ。もう黙ってて。
「何がです?貴女が好むような愛は私には見えませんが。」
「違うあやめ!これは『和』の心!!あたしが『愛』の次に愛している『和』の心!」
「・・・そうですか。それは結構です。どうぞ演説を。」
「言われなくとも!いいですか?」詩子は大げさに手を広げ、演説をはじめる。「通りすがる人々は皆髪を紫に染め、ズボンをズリ下げ、あたかも自分が日本人であることを嫌悪し、放棄するようなナリをしています!あたしはそれを許せません。しかし!あそこに見えるのは純の和風の景色じゃないですか!それを愛でないで何を愛でる!?ねえ雪乃!!」
不意に話を振られた雪乃は少々戸惑い、いつもの消え入りそうな声で「ああ・・・・・はい・・・。」
困っているようにしか見えない。
「えっと?話を進めようか。」
遊楽は辟易しながらも場を収めた。ふと黄色を見ると宙に浮かびながらトンボを追いかけている。何してるんだあなたは。
「あそこの血がどうたら言っているイタ男・・・・じゃなくて板尾くん・・・でもないや。」
「あの人板尾っていうんですか!?」
「それは関係ないよ。友美。口動かさないで。」
「えぇーっと?いいかな?」困ったような遊楽。「板尾くんの腰にハチマキがついているんだ。それを奪い、クレーターの向こう側にたどり着いたら試練クリア。で、これは君たちの中で一人でも成功したら準じて皆もクリア。よかったね。」
「まあ、どちらにしろ許可もらわなくともそうするつもりなんだけど。———行くよ博人くん。」
「あっ、待って。」
僕の返事を聞かずまま、花火はひょいとクレーターの中に飛び込んでいた。僕も倣う・・・と待て。
「あの・・・友美さんやあやめさんはいかないんですか?美味しいところ全部花火くんに取られてしまいますよ。」
「はははっ!大丈夫!私たちはいいよ。武闘派に任せておけばどうにかなるでしょ♪」
「第一私達、頭脳派です。どうぞ構いなしで。」
「・・・・分かりました行ってきます。」
言い残して僕もクレーターの中に飛び込んだ。砂に足を取られながらも進む。