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Re: 【真】ツキシマヒロトの愉快な部活! 【Re:make】 ( No.52 )
日時: 2012/08/23 15:47
名前: 藤田光規 ◆bh.mYRAeMo (ID: BUG11FhX)

クレーターは実際、結構大きかった。流砂に足を取られながらずるずると滑り降りていく。僕が体勢を整えた頃にはもう花火とイタ男の距離は近づいていた。急いで足を進める。いくら花火でもタイマンはきついだろう。走って花火の元に駆け寄った。僕たちを見て、イタ男はおおげさに笑う。

「ふぁーはっはっは!!俺の相手がこんな奴だとォォォ!!笑わせるな!!」
「うるさい。耳が痛いんだよ。吹っ飛ばすよ?」
にこりともしないで花火の絶対零度の声。一瞬相手も震え上がったが、すぐにかりそめの上げ意気に変わった。

「お前みたいなチビに何ができるんだンブッ!!!」
イタ男が最後まで言わない内に花火の怒りのこぶしが頬にめり込んでいた。男はもんどりうって吹っ飛び、図り花火の脅しのとおりになった。
「友美ぃ——!滑り降りて来て!ハチマキ取りの手柄はお前にやるからー。」
「えー?ホントぉ?じゃあ待ってて!」

言って友美はずるずると滑り降りてきた。それにならい、他の女子メンバーや三年生も向かってくる。イタ男は今ピクピクと痙攣しているのが見えた。その内、女子たちが僕に並ぶ。

「さて、花火、あの人の腰にあるハチマキ取ればいいんだよね。任せてよ。」
友美は目を回しているイタ男の方にひゅんと飛んでいった。そして腰のところをまさぐるとハチマキを握りしめて、
「取ったど——!!」
「調子に乗るな!」
花火は友美を軽くはたいた。

「っていうか、このクレーターなんなんでしょうね・・。」
僕は周りを見回しながら呟いた。
「隕石でも落ちない限りこんなんできないでしょう。あやめさんは何か知らないですか?詳しそうだし。」
「残念ながら何も知らないです。・・・でもたしか昔、このあたりは何かで有名だったらしいです。」
「その『何か』が肝心なんだよな。」
花火のどうしようもないつぶやきを聞いた、その時、いつかどこかで感じたことがある寒気が襲ってきた。いや、そんな言葉では到底表せない症現。声を聞いた時思い出した。
「ひゃはー。やっぱガキどもじゃ分かんねえかー。」例のもうひとりの二年生剣道部。切妃亦紅が、クレーターの淵に腰掛けていたのだ。