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Re: 【真】ツキシマヒロトの愉快な部活! 【Re:make】 ( No.53 )
日時: 2012/08/27 10:21
名前: 藤田光規 ◆bh.mYRAeMo (ID: rYvWlEkT)

「わかんない、というとどういうことですか?」勇敢にもあやめは面と向かって聞いた。みんなにはこの圧倒的威圧感がわからないのか?
例えるなら・・・そうだ。背中にネコバスを背負ってるがごときだ。気を抜かなくとも、押しつぶされる。

僕がわけのわからない比喩をしている内に亦紅は僕たちの元に歩み寄って来た。思わず後ずさりしてしまう。

「知らねーのか?お前ら。ここら辺は大昔、日本で有数の銀の産出地だったんだぞ。」
僕は聞いたことない。そりゃ地元は上の方だからだ。あやめ以外のメンバーは眉をひそめている。

「思い出しました。銀でした。一時期は石見の方とタメを誇るぐらいという話もあります。」
「にゃははっ!ぼくはぎんより「宇治金時」のほうがすきだね!」
「あなたはいろいろ違うんです!!」
思わず大声を出してしまった。しかも、亦紅の前で。だが、気に召してないからいいだろう。

「で、それがどうクレーターと関係があるんですか?」
バカに明るい声で友美が聞いた。あなたたちどっかのセンサーブッ壊れてるでしょう!??

「ああ?んなこときになっかよぺちゃ娘。」
「いえ、そんなに・・・ってぺちゃって何?胸?」

「亦紅先パイ。」花火がため息混じりに言った。
「こいつに構ってたら日ぃ暮れちゃいますよ。」

「ひゃはー。そういや空土にそう注意されてたな。」
「どういう注意!?」「友美。黙ってて。あるいは口チャック!」

「銀山ってとこまで言ったか。明治ぐれーにここで銀鉱石がありえねーほどわんさかとれるっつってバカみてーな奴らが掘りに掘ったんだ。んで、食い尽くして全然取れなくなっちまって皆手ぇ引いたんだ。残ったんは採掘のしすぎでぽっかり空いた、この穴なんだよ。隕石じゃねーってだ。」
「つまりは———このクレーターは人間の欲望の象徴ってことです?」
にこりと怖い笑みを浮かべ、あやめ。それを聞き、亦紅は「いい表現だ」と満足げにうなづいた。この二人は似ている。

「まっ、それはいいとしてだ。」
亦紅は後ろを振り返った。そこにいるのは、横たわっているイタ男。
「情けねー話じゃねーか?一年に一発KOなんてよ。」

すぐに男は亦紅の声に頭を動かした。今まで意識を失ってきたこともあり、焦点があっていない。
「・・・・切妃・・・亦紅・・・。なぜ・・・ここにいる・・・?」「さあ?自主登校ってやつだ。偉いだろ?褒めてくれや。」

呵呵と笑い、亦紅は男に歩み寄る。僕たちには背を向けている形だが、なぜか僕には一層の迫力が感じられた。何なんだ?この寒気は?亦紅は冷蔵庫なのか・・・・?

僕がアホみたいな思考をしてるのもよそに亦紅は倒れふしているイタ男までたどり着くと、しゃがみこみ、イタ男の前髪を掴んだ。全体的にピンチ!!

「ひゃはー。近くで見りゃあひでぇやられようじゃねーか?一年坊主に顔の真芯捉えられてどうすんだ?」
「だから・・・人殺しのお前が・・・なぜこんなとこにいるんだよって・・・・聞いてるんだ・・・・。」男は最期のちからを振り絞って、といった感じで言った。すると亦紅は掴んでいる手を離し、ゆらりと立ち上がった。そして、ため息。
「二度も言わせんじゃねーよ・・・・。」
右足を振り上げた。とっさに花火は「見るな!!」と叫んだが、僕は目を閉じ損なった。

亦紅の足がイタ男の顔面にぶち当たり、周囲に赤い液体がはねた。イタ男は苦しそうにうめいていたが、やがて動かなくなった。
「もっ、亦紅さん!!!」
「心配ねーよ。手加減はした。死んではいない。」

こっちへ向かって来ながら亦紅は言う。あなたは峰打ちをしたあとの侍か!・・・とは言えない。
「おい。一年坊主。」
「はっ、はいいい!!!!」
僕が返事をした。花火が吹き出す。

「さっきの試練、ぶっちゃけ退屈だったろう?」
「いいえ!!至福の時間でした!!」
言った僕の胸に花火が手の甲を軽くぶつける。

「そうだな・・・ぶっちゃけ相手が不足だったッスよ。」
「はっ、花火くん!!?」
「大丈夫さ。いくらなんでも無茶なことはさせないよ。たぶん。」
「一概にそうと言えないのが剣道部の先パイたちの怖いところですよ。」

「ひゃっはー!やっぱ冴えなかったか!じゃあ第三の試練、延長戦と行こうじゃねーか。」

そこまでは十分予測の範囲内だ。だが、次の瞬間、さっき花火が言ってた言葉が嘲笑われることとなる。

「第三の試練延長戦、名付けて『モコウ先パイを吹っ飛ばせ!』はじめるぞ。」