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Re: 【真】ツキシマヒロトの愉快な部活! 【Re:make】 ( No.55 )
日時: 2012/09/28 22:53
名前: 藤田光規 ◆bh.mYRAeMo (ID: 7gBpjPib)

「モコォォォ!!!!待てやコラァ!」
どっかで聞いたことがある怒号が辺りに響き渡った。花火は足を止め、亦紅は笑い、女子たちは空を仰ぎ、遊楽は石を手で弄び、黄色はトンボを追いかけた。あなた一人だけ何か違うんです。

声の発し主はそばの木の枝に立ち、木刀を肩にあてがっている。
「後輩と決闘なんて趣味の悪ィことしてんじゃねェか?なァモコよ?」
「チッ、空土かよ・・・。面倒くせえ。」
吐き捨てるように亦紅は言った。空土はやはりニッ、と笑うとひょいと木から飛び降りた。

「とっこらせっと。桜にしちゃァ随分背ェ高ェなこの木。」「何しに来やがった空土?お前の出る幕はねーぜ?」
「久しぶりだモコ。何話ぶりだ?「話ってなんだ?」まあ、いい。聞けや。言いてェことがあんだよ。」
顎を上げて挑発的に言うと、咳払いをし、いきなり声を張り上げた。
「切妃亦紅ォォォ!!!貴様は俺の愛する後輩に危害を加えようとしたァ!死すべき恥だ!万死に値する!!だから、この俺が!月とゼウスに代わってお仕置きよ!!!」


・・・・空気とはこんなに固まるものなのか。カッチカチだぞ?ゾックゾクするやろ?富士山山頂か!
今まで空土の方を向いていた亦紅を始め、女子たちや三年先輩たちは180°違うあさっての方向を向いている。
空土は舌を鳴らし、「これ徹夜で考えたネタつったんだが・・・・。」とこぼした。
「ってか空土さんこんなところで茶を濁していていいんですか?拳正さんに負けますよ。」
フォローを兼ねて僕は聞いた。
「ああ、そんなことなら心配いらねェや。」手を顔の前で振った。「とっっっっっくの昔にゴールしたから。」

「それならよかったです・・・・ってえええ!!!」
僕なりのノリツッコミだ。未だに亦紅は違う方向を向いている。黄色はちょうちょを追いかけている。なにしてるんだあなたは。

「早すぎやしませんか!いくらなんでも!!」
「なんだおめェ知らなかったのか?このクロスカントリーは毎年やってるんだよ。」
「はあ・・・。」
「俺達ァいつどこで何をするってこと覚えてんだよ。伝統だよ伝統。OK?」
全然OKではない。するといままで隠れていた遊楽は空土がきたことにより安心したのかいきなり前に歩み出てきた。そして言う。

「亦紅。流石に試練自体を変えるってことはダメだと思うだけど・・・・。」
「あ゛あ!!?」
「んなっ!すいません!!生まれてきてすいません!」
ササッと空土の影に隠れた。三年生は何がしたいんだ。
「ひゃはー。んでだ空土。お前なぜUターンしてきたんだ?さっきの寒いギャグを言うためじゃねェだろ?」

「あーそうだったなー。てっきり忘れるとこだったわ。」
そう言って空土は頭をかいた。辺りは騒然。女子もいつの間にか空土を正視している。
「モコ。そんなに誰かと闘いてェのか?」
「・・・何が言いたい?」
「おめェが急造した第三の試練延長戦のことだよ。なーにが『モコウ先輩を吹っ飛ばせ』だ。このクロスカントリーは伝統だぜ?んなバカげた試練がこれから取り入れられちゃ困る。・・・つーことでだ——」
そこで空土は木刀を亦紅の喉に突き付けた。なんとも言えない緊張感が場を支配する。
「ここで試練ごとおめェを叩き潰すっつってんだ。」