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Re: 【真】ツキシマヒロトの愉快な部活! 【Re:make】 ( No.57 )
日時: 2012/08/31 09:21
名前: 藤田光規 ◆bh.mYRAeMo (ID: TZln3PE9)

「ひゃっはー!そいつはおもしれーや!わざわざガッコに来た甲斐もあるもんだ!」
「大きな口を聞くんじゃねェや。今日おめェは完膚なきまでに叩き潰されるんだからな。」

次第に興奮していく亦紅に冷めたままの空土。その二人の間には火花が散っていると思いたい。
「ひゃっはー!愉しいじゃねーか!こんな時を待ってたんだ!!」

亦紅はいきなりしゃがみこみ、足元に転がっていたこぶし大の石を勢いよく投げ放った。
球速はかなり速い、が何の苦もなく木刀で弾いた。

「空土ぉ!!冷めたツラしてんじゃねーやい!おらぁ!」
そのまま、亦紅はこぶしを振り上げ、空土に向かって殴りかかった。個人的に空土に勝ってもらいたいのだが。

———・・・で?空土は何故避けないのだ?


その瞬間、衝撃の展開に僕は目を疑った。空土の頬にものの見事にこぶしがクリーンヒットしていたのだ。あしたのジョーよろしくもんどり打って吹っ飛ばされる。
「く・・・「「「空土さぁ————ん!!???」」」」

慌てて性別学年関係無しに皆が空土に駆け寄る。相手だった亦紅も複雑な表情で輪の中にいる。
「く、空土さん!?まさか敗けるとは思いませんでしたよ!」「我が人生に・・・・一片の悔い無し・・・・。」
「悔いてください!!っていうか死ぬんですか!!?」
「ちょっ、空土どうしたんだよお前?」
心配そうに亦紅が覗き込んだ。もはやこの人のせいとも言えない。
「いつからお前そんなに弱くなったんだよ?小学生ん時の方が手応えあったぞ。まるで手加減してるような・・・・———」

亦紅は全て理解したように目を見開いた。反射的に一歩飛び退いたのだろうが、もう遅い。

スパアン!亦紅の体はいきなり凄いスピードで真上に飛ばされた。そして、その元には膝をつき、木刀を振り切っている空土の姿。
さっき空土が立っていた枝に亦紅は引っかかった。じたばたとするが、複雑に絡んでいるようで枝からは外れない。
空土は何も無かったかのようにゆるりと立ち上がった。ポンポンと制服の裾を叩き、土汚れを落とす。すると片手で口を覆い、下を向き、肩を上下させた。どうやら笑っているらしい。

「ククククク・・・・ハハハハハ・・・・ハァーハッハッハ!!ウケる!ケッサクだ!!世紀の喜劇だ!!カッコつけたバカが情けなくぶっ飛ばされたぞ!!!ハァーハッハッハ!!!」
含み笑いは次第に大笑いに変わり、しまいにはキャプテン・クックばりの大嘲笑になった。大げさに手を広げ、天を仰いでみせる。
ア然とする僕たち一年生と三年生を尻目に木刀で亦紅を示す。

「おめェバカか!!俺が正攻法で行くと思ったか?これまでの47戦の中で一回も俺が真正面突破したという記憶があるか!? ば———か!!!」
「空土てめえ!!!下ろせここから!」
亦紅は枝から足掻いてみる。が、そう動けば動くほど複雑に絡んでいくことに気づかない。

「てんめえ!卑怯な手ぇ使いやがって!お前それでも人間か!!!」
「最恐の不良がんなこと言うんじゃねェよ。おめェそれでもアウトローか?」
「黄色!念動力でこっから下ろせ!!この最低ヤローをぶん殴る!!」
「・・・・ああっ!トンボだ!まてー!」
「てめーらぁ!!」

そこで空土は踵を返し、顔だけで僕たちを振り返り、
「行くぞおめェら。あのモコみてェな喧嘩人形に付き合ってたら命100あっても足りねェから。」
歩き出した空土の後ろで僕以外の一年生は顔を見合わせ、頷き合う。そして少しの助走をつけて一斉に叫んだ。

「「「「「「こんの卑怯もの——————ッ!!!」」」」」」
「ウンヌゥバッ!!」

一年総出の綺麗なドロップキック。空土は情けなくうつぶせに地面に倒れた。

「なっ、何してんだよおめェら。俺ァおめェらがモコのバカに殺されっかも、って思ってあの行為なんだぜ?」
「やり方が0点だ!何なんだ今のは。死んだふりからのただの闇討ちじゃないか!!」
「あんなのどう考えてもおかしいよ!!いくらなんでも違う!!」
「見損ないました空土さん。一週間近づかないで下さい。」
「ふふぉふぉふぉふぁふぃふぉ!ふぉんふぃふぁ!」
「美しくない!!愛が感じられないッ!!」
「コードネーム・・・・『マケイヌ』で・・・よろしいで・・・しょうか?」

口々に罵倒の言葉を空土に浴びせかける。空土の体を足で踏むにじりながらだ。
「ちょっ、おめェらやめ!俺はだってな・・・」「「「「「「だってじゃないッ!!!!」」」」」」


合わせたように声を揃え、トドメの腹部へのジャンピングキック。空土は「ヒドゥバッ!!」と呻き、体をVの字に曲げてから力尽きた。
「先に行きます!頭冷やして侘びの言葉を考えてから追いかけて下さい!」
あやめが吐き捨てると皆一斉に歩いて行った。それを慌てて三年二人が追いかける。僕と空土が残された形となった。

「なんで俺が・・・あいつらに謝らなければいけねェんだ。」
仰向けで悲しそうに空土は呟いた。
「・・・・さあ。でも間違いなくあの人たち空土さんに感謝してませんよ。」
「やっぱそうだな。うん。」

「・・・・・とりあえずっ!」
僕は調子をつけて立ち上がった。寝転んでいる空土に笑いかける。
「とりあえず亦紅さんはあそこから下ろして下さいね。そして真摯の言葉を。んで、僕は亦紅さんとは闘いたくなかったので。来てくださってありがとうございました。僕は感謝してますよ。」