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- Re: 【真】ツキシマヒロトの愉快な部活! 【Re:make】 ( No.62 )
- 日時: 2012/10/02 07:13
- 名前: 藤田光規 ◆bh.mYRAeMo (ID: 7gBpjPib)
「ったく・・・空土さんも本当、無理爆ぜするね。」
「くっそ・・。空土副部長め・・・。いつか下剋上してやる。・・・って友美。『無理爆ぜ』って何よ?無理やり爆発させるのかい?」
「造語を作ってみた!」
「作るなそんな物騒極まりない言葉。」
空土に綺麗にドロップキックをかましたその後、花火は空土に壮絶な報復に合い、ボコボコにされたのだ。今はあやめが持っていた救急セット(どこに隠してた!?)で手当てを受けている途中だ。
「でもさ。今回は花火も少しは悪いと思うよ。」友美は笑いながら言った。
「どうしました友美。先ほど頭を打ってそのせいですか?でしたら即病院に行って精密検査を受けなければなりません。」
「いや、そうじゃなくてさ・・・。」
胸の前で手のひらをヒラヒラと振る友美。その額にはわずかに冷や汗をかいている。
「いくら花火でも無鉄砲だよ。いきなり空土さんに飛びかかるなんて。いつも冷静な花火では考えられないよ。少し前に背中を思いっきり打ってるのにさ。それこそ頭打ったの?」
「・・・友美に冷静さを問われるなんて世界も末だね・・・・。」
悪態をつくと花火は数十m先を歩く空土を見、苦笑いした。溜息をつきながら言葉を次ぐ。
「そうだね・・・。あえて言えば『憂さ晴らし』ってとこかな?」
「「へ??」」
花火の意味深な言葉に僕と友美は呆けた声を合わせる。あやめはいつもの無表情で花火の膝にカットバンを貼り終えると「これで完了です。」と言いながらカットバンの上から傷口を叩いた。
「痛・・・・・。どういうつもりだい?あやめちゃん。」
「母性本能です。」にこりともせずに言った。
「意味がわからないよ。」
反論する花火にあやめはわずかに口をゆがめると、ゆっくりと立ち上がった。
「この長かった行事もあとひとつの試練さえクリアすれば終わりです。速く灯たちを追いかけましょう。」
あやめの言葉に花火は頷きながら僕の手を借り、立ち上がった。
「悪いね。博人くん。」
「あっ、いや。むしろ無傷の僕の方が悪いんで。大丈夫です。」
「ホントだよ。」
「ほえっ!??」
挑戦的な表情で言い放った花火に僕は間の抜けた声を出した。僕の反応を見て花火は笑う。
「ははっ。ごめん。冗談だよ。」
打って変わった笑顔を見て、僕は少し救われた。その花火の顔がほんの少し、友美に似ていると思ったが・・・
言ったら凄い怒られそうなので口に出さなかった。多分あやめにも睨まれるだろう。
「二人とも——!何してるの——!速く行こうよ——!」
声の発し主は友美。いつの間にか何十mか離れており、手でメガホンを作っていた。その傍らには、眼鏡を布で拭いているあやめ。
「はいはい分かったよ・・・。今行く。」
花火は頭をかきながら追いかけた。
「博人くんは三秒以内に来ないと濃硫酸を顔にかけますよ。」
「怖いですよ!!っていうか今持ってるんですか!?それはそれで恐ろしいけど!」
「理科室でリットル単位で調達できます。」
「まさかリットル単位とは。学校も学校ですね!最早兵器とか凶器と言っていい量ですよ!?」
「あー!分かったよ!博人くん!」
花火が僕の口を手でふさいだ。どうして僕なのだ?
「早くしないと詩子さんや雪乃ちゃんに先越されるよ。いいのかい?」
「考えただけで吐き気がします。」
これはあやめだ。だからなんであやめなのだ?
「そうと決まったら!」
と友美はいきなり走りだした。何も決まってないぞ何も。どいつもこいつもって感じだ。
ふとあやめを見ると恍惚といった表情で拝むような動作をしていた。何を考えているんだ?この人は。
すると、友美が駆ける足元に、横のグラウンドで練習をしていたテニス部のボールがコロコロと転がってきた。
花火はあきれ切った表情で下を向いており、あやめは幸せの絶頂といった感じなので、二人とも気付かない。もちろん本人たる友美も気づかない。なぜなら・・・・
友美だから。
友美の踏み出した右足がテニスの軟式ボールを踏み、漫画のように綺麗に体が45°回転し、
「ふぬあっ!!」
思いっきり背中を打ちつけた。
「友美————!!!」「友美さぁぁあん!!?」「友美(バカ)・・・・・。」
なかなか前には進めないようだ。