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- Re: 【真】ツキシマヒロトの愉快な部活! 【Re:make】 ( No.63 )
- 日時: 2012/10/02 07:18
- 名前: 藤田光規 ◆bh.mYRAeMo (ID: BUG11FhX)
「オラ、手前ら。最後の試練進めるぞ——!」
一年が一列に並んだ、その前に立ち、拳正は声を張り上げた。と思えばとたんに顔をしかめ、
「友美、なんでお前包帯ぐるぐる巻きなんだ。ミイラかお前は?」
「いや、そんなに大きい傷じゃないんだけどな・・・・。」
友美のくぐもった声が聞こえてくると花火は眉根を、あやめは眼がしらをそれぞれ押さえた。
花火の心配は杞憂に終わった。友美が思いっきり後頭部を打ちつけるとあやめは青い顔をして包帯をとりだしたのだ。数分、タイムロスしたが、最後の試練は集団参加らしく、雪乃、灯、詩子の三人は拳正と空土の前で待っていた。
「・・・・しゃべれることを見ると結構元気そうだな・・・。」
拳正はふぅーと長い溜息を吐いた。「いつも通りドジっちまったのか?」
「キャー!拳正さん年下に向かって『ドジっ娘』とはセクハラですよ!愛が感じられません。いけない欲望がひしひしです!」
「ドジっ娘たーだれも言ってねえし、詩子。この流れで誰が何を言おうとイラつくから黙ってけよ。」
「遅刻ギリギリで・・・・ぶつかりますか・・・・。」
「何言ってんだお前!よく入ってこれたな雪乃!手前ゲームだけじゃなくて漫画もありなのか?」
「今のは・・・・ギャルゲーです・・・・。」
「知るかぁッ!!」
「ふぁふぉf「もういいっつってんだぁぁあっ!!」ひいぃっ!」
拳正は眼をむき、憤怒の表情で怒鳴り散らす。年下の女の子を素で怯えさせたあと、
「空土のアホが手え出すのも分かる気がするな・・・。と唸った。校舎の影に腰を降ろしていた空土が親指を立てるのが見えた。
花火ははたと溜息をついて(溜息の数に比例して幸せが逃げていくというのがホントならこの人は100年分ぐらいの幸運が全力疾走で逃走中だろう)だるそうに口を開いた。
「拳正部長、友美(バカ)のことは無視していいッスよ。友美(バカ)が勝手に駈け出して、勝手に踏みつけて、勝手に転んだだけッスから。」
「こけただけでミイラってのも不思議なんだがな・・・。」
「手当ては私がしました。」
あやめが眼鏡を指で押し上げた。僕にとっては既知の事実だ。
「友美はとてもか弱いので花火くんとはわけが違います。最低限の治療をしたまでですが何か?」
「何か?じゃねえよ。それが最低限だったら満足の手当ては一体何なんだ?」
「何って・・・・。臓器移植のためにアメリカへひとっ飛びです。そして一日で千秋分の働きをします。一週間以内に『一日千秋』の意味を正反対に変えて見せます。」
「スケールでかいなおい!??」
思わず辟易した拳正に誰かがのしのしと近づいて来、その頭を軽く小突いた。
「もういいだろ。流石に遅いや。」
その男は175の拳正より頭一つ分背が大きかった。見違うことはない。隼威だ。
「なんだ・・・。隼威兄ぃか・・・・。」
拳正は頭をかいた。
「なんだとはなんだ?お前今までどこ行ってたんだ。探したんだぜ。」
「あんたこそ。俺は空土のバカを迎えに行ってました。」
「あのな・・・そんなことはまず俺に言ってくれないと困るだろうが?」
そんなこんなで所在不明の責任をなすりつけ合う新旧の部長二人。とても見れたものではない。するとここで空土が「ヒロ!!」と僕に声をかけた。手招きしている。
「はい。なんでしょうか?」
「友美の包帯解いてやれよ。お前が。」
「えっ・・・!僕が、ですか?」
「たりめェだろ。自分から外すこたァ友美はできっこねェし、あやめは取るわけねェし、花火は多分頼んだってダメだろ?」
「それはそうなんですが・・・・。分かりました。暑そうですもんね。」
「ってか見てるこっちも暑くなンねェか?熱射病になりそうだ。」
最後の空土の独り言は完全無視し、僕は友美に歩み寄る。首をかしげる友美に「ちょっと失礼します」と言いながら包帯に手をかけた。
切り。