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- Re: 【真】ツキシマヒロトの愉快な部活! 【Re:make】 ( No.64 )
- 日時: 2012/10/04 23:59
- 名前: 藤田光規 ◆bh.mYRAeMo (ID: kG6g9hX2)
前の話の続き
「博人くん。友美に触ったら罰金5万ですよ。」
「分かりました。なるべく触らないように解いていきます。」
「・・・そういう一休和尚みたいな理屈、少しイラっとしました。」
これまた完全無視。聞かない聞こえない。私は貝になりたい。
恐る恐るといった感じで包帯を解いていく。あまりに慎重すぎる僕の手つきに空土が見かねたのか、後方に木刀を放り投げ、ゆるりと立ち上がった。
「ったく、おめェは草食すぎんだよ。ほっぺたから横隔膜までキリンかおめェは。」
「嫌な事言わないでください。」僕は顔をしかめた。
「やっぱ俺にさせろよ。肉食系タイガーの実力見せたらァ。ガオウ!」
にやにやとした表情で空土は近づいてくる。「ハートに巻いた包帯をぅ♪ぼくがゆっくり解くからぁ♪」などと歌いながら。(byBUMPOFCHICKEN)
すると、その時だった。本当にその瞬間だ。空土の鼻先を『何か』がものすごいスピードで飛んで行った。その『何か』は、黒くて平べったいものだったと思う。
今までふざけていた女子たちも通り過ぎて行った『何か』にあっけにとられ、剣呑な表情へと変わった。
だが、おそらくは彼女らは「いつも飄々としている副部長の眼前を何かが凄いスピードで飛んで行った」という単純な事実だけをとらえているのだろう。
だが、僕の一級たる動体視力はちゃんと『何か』の正体をとらえていた。
——『手裏剣』だ——・・・・
「 ひ ゃ ー は ー ! く ー う ー ど ー ? 久 し ぶ り だ な オ ラ ぁ !」
背筋に寒気を感じた。僕の額から一筋の冷や汗が滑る。
「やっぱ来やがったか・・・。くそクレイジーモコめ・・・。」
「 ク レ イ ジ ー と は 言 葉 じ ゃ ね ー か ? 弱 虫 毛 虫 ! !」
亦紅の登場に空土は舌打ちした。亦紅が怒っているのは、間違いなく先ほどの死んだふりからの奇襲のことだろう。空土の鼻には手裏剣がかすったためできた赤くて細い線が刻まれられていた。
すると、拳正と隼威の会話が耳に入ってきた。二人はまだ亦紅に気付いていないらしい。
「そういや隼威兄ぃは今まで何してたんだ?」
「ああん?風紀委員会から携帯に連絡入ってよぉ、学校一のドロップアウト亦紅が登校したって騒いでたんだよ。その上、木の枝に吊るされてるってな。なんだかわかんねえが一大事だろ?」
「なるほど。そのまま吊るしておけば好かったんだかな。」
拳正はこちらを振り向く。彼は亦紅の存在に気づいてたらしく、親指で亦紅を指差した。
「よぉ!亦紅じゃねえか!どこ行ってたんだ?」と隼威はにこやかに手を挙げた。
嗚呼、なんてことだ。現代に現れた亦紅という名の猛獣を隼威は携帯ひとつでその檻から解き放ってしまったのだ。しかも、慈善活動で。
などとふざけた事を思っていないと僕自体が亦紅の殺気に呑みこまれそうなのだ。よし、皆!今度から携帯は持たないように!
「ひゃーはー!空土!ここで一つ問題だぁ!俺が今一番殺したい奴は誰だ? 1、空土 2、くうど 3、kuudo! さあどれだ!3秒以内にこたえないと眼ン玉ほじくりまわすぞ!勿論間違えたら即殺す!」
「35番のエドはるみでファイナルアンサー。」
「 ん な ん ね ー よ ば ー か ! !」
言うが早いか、亦紅は一体どこに隠していたんだろうというほどの手裏剣を手のひらの上に重ね、眼に見えないほどの速さで僕ら(空土)に投げつけた。あ、死んだな僕。
「黄色ォ!!」
空土が叫ぶ。あー、死ぬ前にトリュフ食べたかったなー。
「おめェの念動力でどうにかしろやァ!!」
「にゃはは!!ごめん!もうきょうはむりだよ!じゅうでんがたりないや!」
あー、死ぬ前にサーティーンワンで全部ください!って言ってみたかったなぁ。
「チッ・・・。やべェな・・・。」
空土が舌打ちした。そうこうしてる内に手裏剣の一つが僕の袖にかすった。あー、死ぬ前に100万の札の風呂に入りたかったなぁ。
「ヒロ!しっかりしろォ!なんかもうすでに成仏しかかっているぞ!」
そんなことはないでござるよ。越後屋。ヌッフッフ。
手裏剣の一つが僕の顔面に向かってくる。避けられる気もしない。万事休す————・・・・。
「——関係ない奴に当たったらどうすんだダァホ!!!」
後ろから低い怒声が聞こえた。のち、
僕の前に大きな壁が立ちはだかっていた。