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Re: 【真】ツキシマヒロトの愉快な部活! (Re:make) ( No.7 )
日時: 2012/08/03 10:45
名前: 藤田光規 ◆bh.mYRAeMo (ID: BUG11FhX)
参照: 花火「しばらく紹介文が長らく続くからね。根気を持って読んでほしいよ。」

空土というらしい先輩によって開けられた、扉の敷居をくぐる。その後に開けた本人、続いて黄色い髪の男の子、花火と続いた。
空土さんは「よー!おめェら!!」と声を張り上げる。一斉に中にいた部員がこっちへ振り向いた。無数の視線が僕を刺す。
まあ、「無数」と言っても中にいたのはたったの5人だった。厳密に表現しようとすると、5人の部員一人に2つの目があると考えて、 5×2=10。 10つの視線が僕を刺す、の方が正しいと言える。

そしてちなみといっては何だが、5人全員が制服をしゃんと着こなした女子生徒だった。僕はとりあえず目をこらして彼女らを観察する。・・・いや、セクハラとかじゃなくてだ。勘違いはよしてもらいたい。
・・・・・観察完了。しっかりと目に焼き付けた。
はっきりと言っておこう。僕は驚愕していた。中にいる女子部員たちが織りなしている異様な光景にア然としていたのだ。

PCのキーボードを目にも止まらぬ早さで叩いている眼鏡をかけたポニーテールの女の子に、かすを床にボロボロこぼしながらポテトチップスの袋をまさぐる娘もいる。あとは、本を黙って読んでいる大人びた女子と、鏡へ面と向かって竹刀を素振りしている小柄な女の子。この二人はまだ普通といえるだろう。
でも最後に見えた色白の女子生徒を見たときには本当に我が目を疑った。

DSを握り、一心不乱と格闘中だったのだ。無論、学校にゲームを持ってきていい訳はない。

「んじゃ、おめェら!ちょっと集合!新しいメンバーだ!」
空土はめいめい自由に無為な時間を満喫している女子達へ号令をかける。声を受け、おのおの違うスピードで近づいてきているのが見えた。
最初は女子達の異様な行動に驚いていたものだが、僕の横にいる二人の男子もちゃんとした格好をしていない。むしろ、こちらの方が酷い。

花火くんは頭の黄色い髪の毛こそ地毛かどうかは知らないが、明らかに整髪料をふんだんに使っているだろう、ぴょこぴょこと美しくはねている。左耳に鈴のピアスをしているし、なにより目立つのは異様に袖が長い改造制服だ。

空土さんは空土さんでもっと酷い。
茶髪はまずはいいとして、右側頭部に赤色のメッシュが入っている。制服であるブレザーの前は完全に解放しており、右腕には『学校理事完全掌握生徒』とある怪しさを極めた腕章を誇るように着けている。

「んで、博人・・・だっけ?」
空土さんが僕を見て確かめる。
「とりあえずこいつらに自己紹介を。」

「あっ、はい。」
僕は空土さんを中心としている女子の円へ向き合った。再び複数・・・いや10の視線が身を突き刺す。

「僕は月島博人、といひます。ええーっと・・・前の学校でも剣道をしてました。これからお世話になります。」
噛みながらも言い終えると女子から拍手が起こった。
「んじゃあ、改めて俺な。」と空土さんは手を挙げる。

「俺は2年B組 西首 空土(ニシクビ クウド)。大空の空に土偶の土でクウドってんだ。変わってんだろ?ちなみに副部長だ。よろしく。」
言い終わると同時に、にやりと笑みを浮かべる。そして僕に手を差し出す。素直に握手しておいた。
正直言って、僕は驚いていた。尊大な態度と場を操る自由な雰囲気からこの人を部長と勘違いしていたのだ。

「あの・・・じゃあ今、部長さんはどこにいるんですか?見えませんが。」
「あァ。ケンのこと?野郎なら・・・。俺は知んねェな。あやめ。知らねェか?」

空土が問いた先にいたのは、先ほどパソコンのキーを光速で叩いていた眼鏡でポニーテールの女の子だった。

「拳正さんなら委員会の業務をこなしているそうです。」
と眼鏡を上げながら言った。「少し遅くなると言ってました。それまで自由時間ですね。」

「あァ。じゃあいいや。」
空土は無関心そうな声を上げて花火くんに自己紹介するように促していた。これでいいのか?
僕の疑問はともかく、粛々とことは進んでいくようだ。

「僕は岡村花火(オカムラハナビ)。あの打ち上げ花火とか線香花火とかの花火って書くんだ。一年男子ってことは僕のライバルとなるんだろ?よろしく。」
花火はそう言って手を差し出してきた。僕も微笑み、握手を交わす。冷たいけど彼の感情が伝わってくるような感触だった。