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Re: コイビト以上、トモダチ未満。【5月26日更新予定っ!】 ( No.6 )
日時: 2012/05/26 19:17
名前: 恵莉♪  ◆F5UnLGHV56 (ID: CnBgMNSf)

第一話 転入生

「おーい。朝のホームルーム始めるぞー。」
ガラッと勢いよくドアを開けて入ってきたのは担任の坂本勇大先生。
どこからどう見ても体育会系のその先生は、実は国語教師だったりする。
たまに暑苦しく情熱的になるところもあるが、そんなところが私は好きだ。
いつもとおんなじ朝…
平和だにゃぁ〜
そんな事をのんきに考えながら空を見ていると、先生はいつもと違うことを言う。

「今日は転入生が来ている!!」

その一言で一気に教室はざわめきだした。
え?
転…入生…?
こんな時期に?
私はふと思った。転入生には大体、区切りがあると思う。(夏休み明け〜とか新学期始め〜とか)
でも、今は夏になりかけの時。月でいうと五月下旬だ。
気持ちの整理がつかないまま、先生は嬉しそうに転入生を呼ぶ。

ガラガラっ

と、ドアを開けるとともに入ってきたのは綺麗な茶髪に綺麗な瞳を持ち、凄く整った顔立ちをした、『絵にかいたような美少年』だった。
彼を見た女子たちは、声にこそ出さないがとても黄色い視線で見つめている。
「今日からここに転入することになりました。宮内颯太です。これから宜しくお願いします。」
そういうと、彼は一礼する。
自己紹介で聞いた彼の声はその…いい声だと思った。
高くもなく低くもなく、耳の中へすうっと入っていくと頭の中にゆっくりと、だが心地よく染み渡るような、そんな声だった。
見た目もよくて性格もいい…なんということだ!!
心の中で私は嘆き、勝手につっこんでいた。

「それじゃあ席はっと…」
そう言って先生は席を探す。
なんだか嫌な予感しかしない。

「おっ!高橋の隣があいているな!よぉしよし。宮内、あの席だ。」

そう言って先生は私の隣の席を指さす。
その動きとともに、クラスの女子は一斉にこちらを見る…。
嗚呼、やっぱり…。
ぐっばい、私の穏やかな学園ライフ。アーメン。
心の中でそんな事を嘆いていると、彼はこちらへ近づいてくる。
うわぁ。近くで見ると、もっとかっこいいよ。
背もでかいし…。
近づいてくる彼を見ると、そう思う。
そして、隣の席に座った。
椅子に座る動作さえ綺麗、と思ってしまう。
今までこんなカッコいい人を三次元リアルで見たことがあるだろうか。
そんな事を考え、彼をずっと見ていると、目が合ってしまった。
うわぁ。超気まずい。
そう思いながらもニコリと笑い、軽く会釈する。
気まずくなった時の私の癖だ。
すると、彼は驚いたのだろうか。少し目を見開いた。
あれ、なんか悪いことをしたのだろうか。
そんな事を考え、少し首を傾げてみる。
すると、挨拶と悟ったのか彼もニコッと笑い、軽く会釈をした。
そして、先生の話に耳を傾けようとした時だった。
「宜しく」
耳元で、さっきの美声が聞こえた。
まさか…と思って隣を見ると、彼の顔が私の顔のすぐ近くにあった。
「——っ!!」
凄くびっくりした。
その時だった。
ドクン・・・・ドクン・・・ドクン…ドクン…ドクン‥
少しずつ鼓動が早くなっている気がする。
一体、なんなんだろ。この人は。

「おっと。もうこんな時間か。今日のホームルームはここまでだ。」
「気を付け—。礼。」

そんな事を考えていたら、ホームルームが終わってしまった。

続く。