コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: *歌えない人魚姫* オリキャラ募集中 ( No.21 )
- 日時: 2012/08/04 18:07
- 名前: マリン ◆eVFVquZhMQ (ID: iAb5StCI)
第三話 なにもかも、あの時 後篇
—三日後—
ウミノちゃんが帰ってこないので心配になり、地上へこっそり上がってみることにした。
運よく見つからず岸部までくることができ、あの白い船も見つけた。
でもそこにはウミノちゃんはいない。
「…………?」
『……なのか!』
すると、近くから声が聞こえてきた。
男の声で……おそらくこの前聞いた人間の声と同じ。
『……あの人魚、剥製になったんだって?』
はくせい? 何それ。
≪—まだ幼い私には、意味が分からなかった—≫
『ああ、高い値で売れたぜ!』
高い値?
『しかもあの人魚喋るからすごいよな。
……ウミノとかいったか?
ま、なんで剥製になったのかは分からない。
水族館にでもおいておけばいいのに。』
『そんなことどうでもいいだろ?』
ウミノ……ウミノちゃんのこと!?
『まあな、俺金持ちになったから問題ない!』
『なんか奢ってくれよー。』
『ラーメンならいいけど。』
『安っ! 焼肉だろ』
『漁師なら魚食え。』
『お前ラーメンって言っただろうが!』
そんな事を言いながら男達はどこかへ行ってしまった。
その後ウミノちゃんを必死に探したけど見つからなくて、結局私は海へ帰った。
—翌日—
メイがうちに来て、
「ウミノちゃん、どうなったんだろう……。」
と言った。
……あの男達の話だとはくせいになったって言ってた。
それにあの辺にはいなかったなあ……。
白い紙に「はくせいになったらしいよ。でもはくせいって何?」と書いてメイに渡した。
「…………!?」
その途端、メイの顔が青くなっていった。
「…………?」
「……ナナ、剥製っていうのはね、皮をはいで綿とかの芯いれる……レプリカ? みたいな物だよ。」
「…………?」
「つまり……ウミノちゃんは……。
皮を……剥がれて……、綿つめられて……博物館かどっかに……。
……要するに……、」
メイがおかしい!
だって泣きそうな顔してるし。
剥製って結局何?
皮をはぐ? 綿をつめる? 何なの?
要するに……何?
「……死んじゃったってこと。」
————え?
ウミノちゃんが……死んじゃった?
「……ねえ、ナナ。」
メイが青ざめた顔をこっちに向ける。
「あんたのせいよっ……」
メイが動転したのか私の肩を掴み、揺らした。
「あんたが悪いのよっ……。」
メイ……?
「あんたがあの網触ろうとしなきゃ……ウミノちゃんがあの網に引っ掛かることなかったんだから!」
えっ……。
「……死んじゃえ。」
メイがボソッと呟いた。
「あんたなんか死んじゃえばいいのよ!
ウミノちゃんが死んだのはあんたのせいなんだから。
責任とって!
ウミノちゃんを返してよ!」
メイの目が私を見る。
その目は……黒くてもう何も映していない。
メイが見てるのは絶望。
狂気にすべてを奪われて。
理性を失ってる。
「あんたなんか——、」
メイがどこかからナイフを取り出した。
「消えちゃえばいい!」
銀色のナイフが私に振り下ろされる。
その時私が見たのはメイの最後の涙。
そして——……、
紅い飛沫。