コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: *歌えない人魚姫* オリキャラ募集中 ( No.36 )
- 日時: 2012/08/31 09:55
- 名前: マリン ◆eVFVquZhMQ (ID: RHpGihsX)
第五話 何もかも捨てて
信じられなかった。
幼い私は心に傷を負った。
その日から目を開けられなくなった。
目が見えなくなったわけじゃない。
— 目 を 開 け た く な い —
目を開けると飛び込んでくる風景が……傷を抉る。
心に血が滲む。
その日から大好きだった物を見ることも出来なくなった。
城で布団に埋もれて寝ていた。
食事は……たまに海藻を食べていた。
「…………」
声が出せたら!
「助けて」って言えたら!
「…………」
出ない声を必死に出そうとした。
「…………」
声は出ない、涙は出るのに。
人魚の……生きている証が出ない。
声は人魚の生きている証なのに。
歌えない私なんて生きてる意味ない!
「…………」
そうだ。
14歳になって……まだ私がこんな不幸だったら。
— 何 も か も 捨 て て 死 ん で し ま お う —
「…………」
ああ、そんなことがあった。
14歳……ちょうど今だ。
私は? 不幸。
目は開けられるようになったけど、不幸。
「…………」
あれから何度も人間に殺される人魚を見た、虐められた。
やっぱり、生きている証がない。
「…………」
なら、あの時誓った通り。
死んでしまおう。
「…………」
夜中、こっそり城を出て、人魚の墓場へ向かった。
人魚の墓場は暗くて気味が悪い所だった。
墓場というだけあって、人魚の骨などがあちこちに転がっていた。
ここで、願えば死ねるっ……!
バイバイ、みんな。
ちょっとは幸せだったけど、やっぱ不幸。
……どっちか分かんないね。
ごめんね?
——私を殺してください。
この無様な人魚を殺してください。
ゴボッ
口から泡が出る。
ああ、これで——……。
死ねるんだ。
————
でも、この願い方は間違っていた。
『人魚を殺す』
——ナナは、人魚である自分を殺してしまったのだから。
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早々と最終回……
なわけねーだろ?
勿論続くよw