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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: *歌えない人魚姫* ( No.43 )
- 日時: 2012/07/01 02:26
- 名前: マリン ◆eVFVquZhMQ (ID: iAb5StCI)
第六話 怖い場所
ザザーン……——
そこには砂浜に寝転んでいる一人の少女がいた。
長い夢を見ていた気がする。
黒い海に沈んでいく夢を。
でも……その黒い海には微かな光が見えた。
その光に近づこうとしたとき、目が覚めたんだ。
目を開くと、ギラギラ光る太陽が目に映り込んでくる。
私は眩しくて目を閉じた。
「…………?」
起き上がって周りを見渡すと、誰も居ない。
どこなの……? ここは。
天国……?
それとも地獄……?
ここがどこだかは分からないけど、とてつもなく怖い場所ということは本能的に分かった。
海が後ろにあったので入ろうと思い、立ち上がろうとした瞬間「あっ、私人魚だから足ないのか……」と思った。
が、なぜか立ち上がれた。
不思議に思い、尾びれを見るとなんと【足】になっている。
どういうこと!?
「!?」
立ち上がるのに慣れていなくてフラフラしてしまう。
そしてバランスを崩し——……
バタッと砂の上に倒れてしまった。
背中が痛い……。
というか私こんな破れてる服着てたっけ……?
それに、足もある。
どういうことなの?
まあ、いいか。
だってここが海じゃないことは確かなんだから。
怖い場所でもいい。
海じゃないなら、私はどこだっていい!
そう思い、砂浜を走った。
足があるって素晴らしい!
人魚にできないこと、なんでもできる!
くるっと周ろうとしたけどまだバランスを保てなくて倒れてしまう。
でも、それが楽しかった。
自由だ! って思えたから。
私を虐める人がいないだけでこんなに幸せ!
ああ、私はね?
知らなかったの。
ここがこんなに怖い場所だったなんて。
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