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Re: 七色きゃんでぃー ( No.12 )
日時: 2012/06/10 02:31
名前: 生卵。 ◆l5afVy7QjU (ID: DIefjyru)


「よーし、課題終わり」

パタン、音を立ててノートと参考書を閉じる。
沢山あった課題は四十分程度で終わった。

(さーてと、お風呂入ろうっと)

椅子に寄り掛かるように背伸びをする。
うーん、といつもより少し低い声が静かな部屋に響く。

椅子から降りてパジャマを手に持って汐梨は部屋を後にしようとドアノブに手をかけた時、
窓からこんこん、とノックするような音が聞こえた。

(巧…今何時だと思ってるのかな)

相手はもちろん隣の家の幼馴染、もとい腐れ縁の巧であることはカーテンが閉まっていてもよく分かる。
はあ、呆れた溜息をついて窓のかぎを開ける。

「巧、こんな時間に何しに来たの?」
「いや…実はさ」

普段稀に見ないその少し沈んだ表情に汐梨は不安になった。
会議室でのことを思い出したのだ。

(やっぱなんかあったんだ)

ごくりとつばを飲み込み意を決して話しかける。

「今日の会議室の事?」
「うん」
「とにかく上がりなよ…あ、靴は脱いでね」

閉じたカーテンを開いて巧を中に入れる。
巧はベットに腰を掛けて暗い声で話し始めた。

「俺今日本当はあのまま帰ろうとしたんだ」
「そしたらあの禿おや…じゃなくて先生とあってなんでお前は仕事をしないんだって怒られてさ」

「そっか」

帰ろうとしたことは癪に触るが巧の落ち込み具合が異常なため汐梨は何も言えなかった。
これ以上校に話させるのもかわいそうになりもういいよ、そう言おうとしたがそれは予想外の言葉で遮られた。

「課題、だされたんだ…あいつ国語の教科担任だろ?反省文とか教科書の問題etc」


「えっと…巧?それは、どういうこと?」

汐梨はいまいち状況がつかめなかった。
つまり巧は課題を出されて落ち込んでいるのだ、汐梨の中で怒りがふつふつとわきだした。
そして、その怒りを噴火させたのは巧の最後の一言だった。

「情けないからずっと言えなかったんだけどさ、手伝ってくれよ」

プツリ、汐梨の中で何かの糸が切れた。

「ふざけないでよ!こっちは本気で心配したのよ、なのに課題?いい加減にして!」

まくしたてるかのように勢いのある口調だった。
汐梨にしてみれば当然だった。

「なっ…そんなに言わなくてもいいだろ!幼馴染が困ってるんだぜ?助けろよ!」
「普段その幼馴染の仕事を手伝わないやつに言われたくないよ!」

巧は押し黙った。
確かに普段の自分が言えたことではない、棚に上げると言う言葉が今の巧にはよく合っていた。