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Re: 七色きゃんでぃー ( No.19 )
日時: 2012/06/10 14:54
名前: 生卵。 ◆l5afVy7QjU (ID: T3.YXFX2)


「んぎゃっ!———〜痛い!」
「あんたが気持ち悪い面さらすからでしょ!」
「もともとこういう顔なんだよ!」

先程のバケツは巧の顔面に見事にヒットした。
鼻血が出ていないか確かめたがどうやら出ていないようで安心したがあまりの痛さについ怒鳴ってしまった。
リデルは反射的に怯み少しのけぞったがすぐに言い返した。

「だいたい汐梨と仲良くって何だよ!?俺限定でなんでそんなこと言われなきゃいけないんだよ」
「だ、だって…」

聞かれるとリデルは言葉をに濁した。
それが数秒続いたので巧もさすがに落ち着きを取り戻していた。

「早く言えよ」

先程のとげとげしい口調とは違い少し子供の様なリデルに面食らったが可哀想にも思えたのだろう、ため息交じりではあったが優しい口調で巧は言った。

「わ、私外国生まれで名前も周りと違うでしょ?」

近くの机の椅子を引きちょこんと座るとリデルは話し始めた。

「私は中学のころに日本に初めてきてうまく日本語も使えなかったの。それで結構クラスで浮いちゃってて、誰も近づいてこなかったの。だけどこの学校に入学してから汐梨ちゃんは席が近くていつも話しかけてくれたの。だから凄い嬉しかったの、でも井之上君がいつも近くにいて私汐梨ちゃんがどっかに行っちゃうんじゃないかって」

最後は半分泣きそうなか細い声で言われ巧もさすがに責める気にはなれなかった。
さらに話によれば同じ中学の人の半数以上がここに入学してきているらしい。
確かにリデルが汐梨以外の人と仲良くしているのをあまり見た事が無い。

「だから、唯一汐梨ちゃんと一緒に入れる朝の時間位二人で居たかったのに…」

制服のスカートをぎゅっと握りしめるリデルの手はかすかに震えていた。
巧はそれを見て再び大きなため息をついた。

「汐梨はどっかに行ったりしねーよ、むしろお前のことかなり好いてるだろ」
「そうかな…」

巧は汐梨が少し比護欲の強い人間だと知っていた
リデルの様な子はかなり好いているはずだし、旗か見ていた自分でも分かる位汐梨はリデルにぞっこんだった。

(相思相愛ってこういう意味なのか…多分な、そうだよな。あ、でも恋愛感情と言うよりもはや家族愛に近いよな)

心の中で独りでに分析を始める巧をおかしなものを見る目でリデルはみていた。

「とにかくだ、お前の心配は無意味だからーって俺が言ってもそれこそ無意味だよな。直接聞いた方が早いだろ」
「え?そ、それは流石に…」
「俺のことさんざん馬鹿にしたんだからそれぐらい覚悟決めろよ」

ギロリ、リデルを睨みながら有無を言わせぬ形相をする巧にリデルは少し嫌そうだったが小さくうなずいた。