コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 七色きゃんでぃー ( No.2 )
- 日時: 2012/06/09 12:57
- 名前: 生卵。 (ID: DIefjyru)
おはよう、そんな声が飛び交う教室に入ると汐梨は自分の机に荷物を置くなり即座に職員室に向かった。
面倒な仕事は早めにやっておいて損はない、善は急げだ。
「あ、おはよう」
教室を出ると目の前にはまだ眠そうな目をしながら歩いてくる青年と会った。
相手はこちらに気が付き挨拶をしてそのまま素通りしていこうとする。
しかし汐梨はその相手の襟元を即座に掴み苛立ちの籠った笑みを浮かべ不気味な猫なで声で話しかけた
「巧?今から私職員室に行くの、手伝ってね。貴方も副委員長なんだから」
襟を掴まれ逃げることができない彼にとっては脅迫に近いものに感じれた。
諦めたように汐梨のほうに向きなおって分かったと言うように頷いた
「じゃあこれの資料を技術塔に持って行ってくれ」
そう言われて目の前に出された資料の数は見るだけで気分を萎えさせるものだった。
この禿げ頭め、と言いたそうに先生の頭を軽く睨みつけている巧の足を先生に気が付かれないように踏みつけた。
早めに職員室を出たほうがいいかもしれない、雑用を任せられたらたまったもんじゃないそう思って資料を分担して持ち上げれば二人は職員室を後にした。
「ったくあの禿爺何で自分でやらねーんだよ、くそ」
「そんなこと言ってられる元気あるならあと十枚位私の持ってよ」
「それはいやだ、死んじまう」
この程度でお前が死ぬなら私はとっくに死んでる、と突っ込みたいが言ってもどうせ屁理屈しか返ってこないだろう、と思って諦めた。
技術塔はまだ遠い、積み重ねられた資料がぐらぐら揺れて落ちてしまいそうだった。
そんな会話を続けてれば技術塔はもうすぐそばまで来ていた。
やっと終わる、そう思った時に吹いた強風によって資料は崩れ落ちた。
「 」
絶句した。
落ちた紙以外に何枚かの紙は風によってどこかに吹き飛ばされてしまった。
一瞬呆けてしまったが紙がさらに飛んで行ってしまうことを考え二人は大急ぎで落ちた書類を集めた。
技術塔に書類を置いたのはそれから二十分後の事だった。
「あー、づがれだ」
巧の声は書類が飛ぶたびにぎゃあ、等と叫んでいたため少し枯れていた
汐梨は安堵の溜息をついた
(何度目の溜息だろう…)
溜息をつくと幸せが逃げる、と聞くが汐梨は自分が人生七割以上の幸せを逃しているんじゃないだろうかと思った。
キーンコーン
カーンコーン
チャイムの鳴る音が聞こえると二人ははっとした。
今二人が居るのは自分の教室から離れた技術塔だった。
「やばい!急げ」
椅子に座っていたはずの巧は気が付けばもう出口に到着していた。
行動の速い奴だな、なんて悠長なことを考えながら自分も教室まで全力疾走した。