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Re: 七色きゃんでぃー ( No.8 )
日時: 2012/06/09 22:52
名前: 生卵。 ◆l5afVy7QjU (ID: DIefjyru)


はあ、静かな廊下には汐梨の溜息までもが大きな音のようにも聞こえた
会議室は一回にあるため少し遠い。
外で部活をしている生徒たちの掛け声はどこか遠く感じた。
途中廊下であった先生にまた頼まれごとをされ、会議室に着いたのは随分遅くなっていた

「失礼します」

どうせまた一人なのだろう。
そう思いながらも汐梨は部屋に入るとき必ずそういう。

「おせーよ」

声が聞こえ、汐梨の体がビクリと動いた。
声の持ち主がだれか、それはすぐに分かったがとても意外だった。

「巧、珍しいね」
「まあ俺も一応副委員長だしな」

へへ、と自慢げに笑うのを見て汐梨は一応じゃないだろ、と言いたくなったが止めておいた。
巧が残ってくれるなんて珍しいから変なことを言うのはよくない。

「じゃあその書類をホチキスで留めておいて、私こっちやるから」
「ん」

返事と受け取っていいのか巧はそれだけ言うと黙々と作業に取り掛かった。
これは明日雹でも振るか、いやもしかしたら天と地がひっくり返るかも。とやや本気で汐梨は思った。

「ねえ、」
「何だよ」
「何かあったの?」
「え、何で?」

巧の声は明らかに動揺していて、沈黙が会議室を包んだ。
汐梨は地雷を踏んでしまったと後悔したが何があったか気にならないわけではなかった。

「別に何もない、それより早くこれ終わらせようぜ」
「そ、そうだね」

しばらくの沈黙を破ったのは巧だった。
しかし会議室を取り巻く気まずさはどこにも行ってはくれなかった。



「はあー、終わったあー」
「じゃあこれ職員室に提出して、こっちは生徒会室に置いて置けば良いんだよね」

まとまった書類を二人で抱え会議室を後にした。
外は暗くなっていて、部活で残っている生徒もずいぶん少ない。

会議室の近くに生徒会室も職員室もあるため運ぶ作業は手間なく終わった。
少し肩が痛く感じて、腕全体を軽く回すようにした。