コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 七色きゃんでぃー ( No.9 )
- 日時: 2012/06/09 22:47
- 名前: 生卵。 ◆l5afVy7QjU (ID: DIefjyru)
「じゃあな東条」
「おやすみー、ばいばい」
外は完全に暗くなり街灯には数匹虫が飛んでいる。
朝は心地よく感じれた風も夏服では寒く感じた。
汐梨と巧の家は隣りあわせで小さい頃からずっと一緒だった。
ただ、中学生に上がる頃から巧は汐梨を名字で呼ぶようになった。
初めは嫌われたかと思ったが中学生だ、きっと恥ずかしかったのだろうと汐梨は思うようにした。
「ただいまー」
家は暖かくて外の寒さを実感させられた。
リビングからお帰りと言う声が聞こえて夕飯ができているんだなと思った。
「今日の夕飯何?」
「カエルの煮物」
「冗談言わないでよ、パスタじゃん」
年の割に冗談をよく言う母親に汐梨は呆れ、また溜息をつきそうになった。
(でも蛙は止めてほしかったな…)
心の中でそう呟く。
机の上にはすでに汐梨の分のパスタが運ばれていた。
頂きます、制服を脱いでハンガーにかけると直ぐに椅子に腰を掛けてご飯を食べた。
今日も授業の課題はたまっている。
「ごちそうさま、お風呂は後で自分で沸かすから」
そういって階段をぼる。
今日も疲れた、そう思うのはまだ早いと疲れた体に鞭を打つ。
汐梨の部屋は朝と変わらない。
少し隙間の空いたカーテンから、朝の陽ざしは入ってこない。
「よっし、課題やろっと」
鞄からノートと筆記用具を取り出して課題に取り組む。
しかしいつものように汐梨のペンを持つ手ははかどらない。
(今日はさえないなあ、よし!)
勉強机の一番下の大きい引き出しはがらりと音を立てて空いた。
中には丸い飴玉の入った少し大きいガラス瓶が有る。
ピンク色の紙で包まれた飴玉は変わった色をしている。
薄い色で七色に着色されている。
今年の春、汐梨が功から貰った誕生日プレゼントだった。
それはとてもきれいでまだ一つも食べたことはない。
ただ飴は保存食のようなもので長持ちするので問題はなかった
(これ見てると自然と気分が安らぐんだよね、綺麗だからかな?)
気が付けば自然と汐梨の表情は笑顔になっていた。
その飴玉を瓶に入れて瓶は元の引き出しに戻っていった。
汐梨のペンを持つ手は魔法にかかったようにすらすらと動き出した