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【顔が赤いのは】 ( No.42 )
日時: 2012/06/17 10:52
名前: 狼鳶 ◆InzVIXj7Ds (ID: pVoFPF2t)

【顔が赤いのは】



夕日が映える放課後。生徒は部活に励んでいて、校舎内は静か。
私は、ある人に会いに音楽準備室へ向かった。




先生は大きな長いピアノの前に立っていた。まだ私に気付いていないらしい。
私は「こんにちは」と声を掛ける。
するとその声が聞こえたのか、私の方へ振り返った。


「こんにちは、結衣(ユイ)さん。飲み物を出しますね。コーヒーと紅茶、どちらが良いですか?」
「あっ、じゃあ……紅茶をお願いします」


そう言うと、先生は「ちょっと待ってて下さいね」と奥へ行ってしまった。
イスに座って良いのか分からず 暫く立っていると、奥から「座ってて良いですよ」と先生の声が聞こえた。
私は、よく分かったなぁ と笑いながら座った。

笑っていると、奥から先生が飲み物とクッキーを持ってやって来た。


「結衣さん どうしたんですか? そんなに笑って」
「ふふっ。私が立ちっぱなしな事を、先生よく分かったなぁって」
「あぁ〜、結衣さんやっぱり座っていなかったんですね」


先生は飲み物とクッキーをテーブルの上に置き、笑いながら座った。
私も笑いながら「はい」と頷いた。


「それにしても、どうして分かったんですか?」
「勿論分かりますよ。結衣さん、遠慮するんですから」
「遠慮……してますか?」


—— しているつもりはないんだけどなぁ。


「してますよ。結衣さん初めてココに来た時から遠慮してます。
  自分の家だと思って、思いっきり寛いで下さいよ。私もそんなに遠慮されると、困ってしまいます」
「あ……ありがとうございます」


一人暮らしの私にとってその言葉は、とても嬉しい言葉。
その言葉が胸にジーンと沁みる。


「それか、本当にここを自分の家にします?」
「それは……どういう意味……ですか?」


先生の言った言葉が理解できず、ポカンとする私。
そんな私とは反対に、先生は真剣な顔付きになった。


「結衣さん、いつ言おうか迷っていたんですが……今言います」
「は、はい……」


先生はスゥと息を吸い、何かを決心した様に言葉を口にした。


「—— 好きです、結衣さん」


一瞬、何を言われたのか解らなかった。
その言葉の意味を理解した時、体中の温度が一気に上昇するのが分かった。

静まり返る教室。私の鼓動は早くなるばかり。
耐え切れなくなり、私は口を開いた。


「わ、私も好きですっ。先生の事が好きで——」


その言葉を言い終わる前に、先生に抱き締められた。
優しく。けど、しっかりと私を抱き締める。


「陽汰(ヨウタ)」
「へっ?」
「名前で……陽汰って呼んで下さい」


先生はわざと私の耳元で囁いた。


「よっ陽汰……さん……」
「はい」




赤くなった私に、陽汰さんは優しくキスをした。







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【後書き】

結衣はこの学校に来た、教育実習生です。
その結衣が音楽の教師の陽汰に恋をする、という話です。
音楽準備室というのはですね、音楽関係の教師が居る 職員室みたいな教室です。
……という妄想です。←
私的には、ある程度年の離れた二人だと良いなぁ。
ものっそい好みです!(笑)
>>17で言っていたタイトルを付けました。

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