ALLジャンルのオリジナル小説、ライトノベル、二次創作、ss小説やイラスト投稿なら「小説☆カキコ」

・死にたがりの少女篇

※前書き——水無月姉弟との劇的な出遭いを果たしてから早一年……。無事二年に進級した如月瑞希が新たに出遭う少女との物語です。



　——不思議な不思議な夢を見た。
　周りには何もない見渡す限り真っ白な景色が広がる空間にポツリと佇む一人の少女……。

　虚ろな表情を浮かべながらも上を見上げ。
　細くてしなやかな透き通った肌の両腕を掲げ、何かを求めているような。

　まるで、この何もない真っ白な空間から誰かが手を差し伸べ、助け出してくれる事を待ち続けているように見受けられる……。

　——けれど、それは叶わぬ願いだと少女は薄々感じていた。

　時の流れさえ不確かなこの空間で一体どれだけの歳月が経過したのだろうか。
　いつからこのような事を続けているのだろうか。

　——そして、いつまで続ければいいのだろうか……。

　それでも少女は眉一つ動かさず、虚ろな表情のまま掲げた腕は下ろさずに続けた。
　それが叶わぬ願いだろうとなんだろうと。

　——少女は少しでも可能性があるなら、と……。

　祈りを捧げるように生気の無い瞳をゆっくり閉じて——。