コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- (2)第二章 〜死にたがりの少女と天真爛漫少女〜 其の三 ( No.25 )
- 日時: 2012/06/29 15:43
- 名前: yuunagi(悠凪) (ID: wfu/8Hcy)
- 参照: http://ncode.syosetu.com/n0270ba/15/
しばらくして、のぼせたのかはたまた姉さんに何かされたのか、呆けた表情を浮かべながら少しブカブカの白いブラウス姿の悠が現れ、僕は堪らず頬を上気させてしまう。
彼女の白い柔肌を包み込んでいるのはブカブカの白いブラウスだけらしく、ブラウスの下裾から悠の白い脚線美がさらけだされている。そして、彼女の綺麗な黒髪が少し湿っているせいか、艶やかな様相を醸し出し、ほのかに香るシャンプーの匂いが何とも言えなかった……。
ご自慢のスタイルを遺憾なくさらけ出すのにうってつけのランジェリー姿の姉さん(もう、毎度の事で見慣れた)も後から居間に現れ、冷蔵庫から取って来たのか、二人分のコーヒー牛乳を手に持っていた。
それを悠に渡すと二人は恒例のように腰に手をあてて、グビグビと喉を鳴らしながらコーヒー牛乳を一気に飲み干す。
——うん、二人とも良い飲みっぷりだ。
「私たちの残り香がある内にキー君も早くお風呂に行って来たら〜?」
「……行きにくくなるだろ……」
姉さんに苦言を呈しながらもどの道、お風呂に行かなきゃならならないので二階にある自室に一旦戻り。着替えを手に取って、お風呂に行く事にした僕。
決して、残り香を嗅ぎに行く訳ではない事をここに誓う。
そう、天国にいる心の友のために……。
しかし、姉さんにあんな事を言われてか変に意識してしまい、自分の家じゃないような錯覚に襲われ緊張しながらもお風呂に入る事になり。
いつも通りに身体を洗う僕だったが、やはりと言うか何と言うか——湯船には浸からず、シャワーだけで早々に切り上げたのだった……。
……無理だ。一刻も早くこの場から脱したい。なぜか分からんが罪悪感に苛まれてしまう。
早々に切り上げた僕は台所に行き、冷蔵庫を開ける。
すると、あれが最後の二本だったのかコーヒー牛乳の姿はどこにもなかった。
がっくし、と肩を落とした僕は消去法で牛乳をチョイスした。
別に牛乳は嫌いじゃないけど——コーヒー牛乳の方が、何か少しランクが上のような気がしないか?
子供じみた自論はともかく……僕は二人を見習って腰に手をあてて、グビグビと喉を鳴らしながら牛乳を一気に飲み干す。
もちろん、コーヒー牛乳と違い。牛乳特有の白い髭を拭き取る事も忘れずに、だ……。
牛乳を飲んだ僕は隣の居間に戻る。と、そこには姉さんは居たが、悠の姿はなかった。
「あれ? 悠は?」
「あの子ならキー君の部屋で眠っているわよ」
湯冷めして酔いも良い具合に醒めたのか、まともな姉さんの姿がそこにはあった。
そんな姉さんはテーブルに肘を付けてボーっとテレビを見ており、僕も姉さんの隣にゆっくりと腰を下ろす。
「——で、あの子は結局。キー君のコレなの?」
姉さんはテレビに視線を向けたまま小指だけ立ててこちらに提示して来る。
「そんな訳ないだろ。——ただの同級生だよ」
「へぇ〜。同級生ねぇ〜。私以外に興味がないキー君が誰かに興味を持つなんてねぇ〜」
「おい。それ、色々と語弊があるぞ」
「冗談よ。でも、初めてじゃない? この家に『お友達』を連れて来るなんて」
ニヤニヤ、と気色の悪い笑みを浮かべながらこちらを見つめる姉さんに僕はバツの悪い表情を浮かべながら頭を掻く。
僕の事をイジって満足したのか、姉さんは再びテレビに視線を向けてボーっと見始める。
——ったく、余計なとこに食いついて来るな……。
だけど、見ず知らずの年頃の女の子を一泊させるなんて普通のご家庭なら理由を問う所だろうけど……悠の事をこれ以上何も追及してこない事には感謝しないと、な……。
僕自身、どう説明したら良いか分からなかった所だし……。
「——さてと、私もそろそろ寝ようかな。明日も早いしね」
テレビの上に掛けられた壁掛け時計を見ながら姉さんが唐突にそんな事を呟き、ゆっくりとした物腰で立ち上がると口元を押えて欠伸をする。
「おやすみ、姉さん」
「うん、おやすみ〜。キー君」
また、口元を押えて欠伸をした姉さんはそのまま居間を出て行き、二階にある自室に向かって足音を立てて階段を上って行った……。
——さてと、僕もそろそろ寝ようかな。
腕を頭上に上げて伸びをした僕はゆっくりと立ち上がる。
忘れないようにテレビを消し、居間の照明も消して廊下に出た僕は薄暗く灯った廊下の照明を頼りに壁伝いに足を進めて、一階にある和室を目指す。
僕の記憶が正しければ、和室の押し入れに敷布団などが収納されていたはず。だから、僕はそこを目指した。それに僕の自室は現在、悠が使用しているため。どの道、和室に向かわなきゃならない。
先ほどの居間で寝ればいいのだろうけど、まだ春先で肌寒い中。何もない所で寝ると風邪をひく恐れがある。
しばらく壁伝いに歩いていると目的地の扉前に到着し、滑りの良い引き戸を開けて中に入ると、窓から差し込む月明かりに照らされた部屋の中央に敷布団が用意されていた。
それが姉さんの計らいだと分かった僕は姉さんに感謝しつつ、床に就いてそのまま誘われるよう就寝……。