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 それって蛇足 ( No.16 )
日時: 2012/06/20 23:20
名前: 自分. ◆UpqMavj4tY (ID: zlsHcGtF)

長い廊下の途中に、とある女子生徒と男子生徒が
何やら緊迫した雰囲気で対峙している。
どちらとも口を固く結んだまま微動だにしない。
友達としての口喧嘩、はたまた、恋人同士の痴話喧嘩か。
道行く生徒達はその奇妙な様子を横目に通り過ぎていく。

重苦しい沈黙を破ったのは女子生徒だった。

「あんたなんかに…、私の何が分かるっていうの!?」

廊下に響く、女子生徒の鋭く突き放す声。
眉間に力を入れて、悲痛な表情を浮かべた女子生徒。
その言葉の向かう先は、“あんた”と呼ばれた男子生徒へと。
女子生徒の目線を直視できなくなったらしく、つい、と俯いた男子少年。
そして、自らの拳を決意の宿った力で握り締め再び顔を上げた。
しっかりとお互いを見詰め合ったのち、男子生徒が真剣な面持ちで
口を開いた。

「……分かるよ、僕には分かってる。君のこと。」

今にも泣き出しそうな女子生徒を包み込む、優しい言葉—。
この二人の間に何が起こったのかは分からないが、男子生徒の
慰めにより一件落着。…と思われたのだが。


「強がってるけどほんとは凄く泣き虫で、この前の部活の試合で負けたときにも
自分のせいだと責任を感じて体育館裏で一人泣いてた事だって知ってるし、
昨日の調理実習の時には砂糖と塩を間違えるなんて普段の君からは
伺えない典型的なお茶目っぷりを発揮してたし、先週の土日には
お年寄りに混じって親切に地域のボランティアに参加してたし、
小学生のときになんか…」


「おい」




        それって蛇足(余計な行為)