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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- あの時の雫が ( No.2 )
- 日時: 2012/06/16 23:50
- 名前: 自分. (ID: zlsHcGtF)
君の第一印象は“変わった人”だなぁ、って思った。
私と同じ歳とは思えない言動で、周りのみんなを困らせたり
人とは違う自分の世界を持ってたり…。
とにかく、君ってば掴みどころがなかったんだよ。
だから私を含めて、周りの皆は君から遠ざかっていったんだ。
ごめんね、君を分かってあげようとしなくて。
けれど、君と知り合ってから時が経つと
見えなかった君が見えてきたんだ。
普段はさばさばしてるけれど、本当は少女漫画が好きだとか。
会話が苦手なのに、困っている人がいたら声を掛けてあげるだとか。
話すときとは違う雰囲気の手紙を送ってきたりとか。
そして、君は絶対に泣かない人だった。
心のない言葉をぶつけられても平気そうに流して
体育の授業中に転んでもへらへら笑って
巷で噂の感動する映画にだって無反応だったね。
雨の降る日、
傘を差さずに、大粒の雨に身体を晒している君に
私は不思議に思って聞いたんだよね。
—風邪ひいちゃうよ、傘に入りなよ。 って。
だけど、君は首を横に振ってこう言った。
—私は泣けないから。泣かないから、代わりにこうやって泣いてるの。
何時も通りの君の笑顔を貼り付けた顔。
頬に無数の雫が浮かんでいた。
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