コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- 仲良し軍団?いいえ秘密結社です ( No.29 )
- 日時: 2012/06/22 23:32
- 名前: 生卵。 ◆l5afVy7QjU (ID: 2skvVE/B)
- 参照: エピソード5.
■夏と言えばなんですか?あははもちろんアイスでしょ?海?何それ美味しいの?
ミーンミーンミーン…
黙れと言いたくなる。
この暑さの中平気で居られる人はいるのだろうか。
「あ゛ーづーい゛ー」
椅子の背中にもたれながら低い声で気怠そうに叫ぶ。
団扇を仰いでいても贈られる風はごくわずか。
「朱音、今すぐここにクーラーを付けろ」
「無理に決まっているだろう、あほか」
冷静に突っ込みを入れる朱音。
しかし座った体制こそいつも通りだが顔は暑さのせいか眉間にしわを寄せている。
「ねーねーだったらさ、連休が有る訳だし海に行こうよ!」
「「「は?」」」
むしゃむしゃとアイスを口に入れながら言われた提案は突拍子もないものだった。
「何言ってるんだよ急に、確かに来週の水曜から日曜まで休みだけどさ」
「えーいいじゃーん」
座った状態で足をバタバタと動かし、唇を尖らせる。
「そんな無計画に行けるようなものではないだろう」
「えー、いいじゃんスイカ割りとかスイカ割りとかアイスキャンディーとか」
「く…食いもんしかねえ」
ふん、と拗ねた様にそっぽを向いた夢霧。
ほかのメンバー一同顔を合わせる。
「で、でもさここからさほど遠くない所なら平気じゃない?」
「そうかもだけどさ…」
悪くなりかけた場の雰囲気をフォローする様に必死に提案をする銀乃時。
彼のいうことも一理あった。
「それにオレ達公式では金持ちキャ、ゴホン。姉さんが珍しく積極的なんだしさ、行こうぜ」
徐々に夢霧賛成派が多くなり、
結局行くことになった。
「熱 海 で よ く な い か ?」
行くとなれば徹底しよう。
といいたいが行けるのはせいぜい二泊三日、あまり遠出はしない方がいいかもしれない。
「静岡だよなー?」
「そうそう」
紫はホワイトボードにgoto熱海、と書いてそれを机の前まで引きずってきた。
夢霧は機嫌を直したようで再びアイスを食べ始めた。
「何で行くんだよ?」
「んー…新幹線?」
紫が横眼でちらり、と夢霧を見ると新幹線でいいという合図なのか親指を立てている。
宿などの問題はあとあと考えるとして、一同は旅行計画を練り始めた。
三時間後。
おおよその話はまとまり後は細かい打ち合わせだけだがこれくらいなら三十分で終わりそうだ。
時間は7:30を指していた。
この廃墟は学園の近くにあるが学園内にあるわけではない、その為下校時間を過ぎても平気なのだ。
「じゃあ細かい打ち合わせは明日だね!」
嬉しそうな笑顔、弾んだ口調から相当楽しみにしているのだろう、
実際始めは乗り気でなかった朱音も表情を見る限り結構楽しそうだ。
- 仲良し軍団?いいえ秘密結社です ( No.30 )
- 日時: 2012/06/19 16:56
- 名前: 生卵。 ◆l5afVy7QjU (ID: dD1ACbVH)
- 参照: エピソード5.
■新幹線ではお静かに。(前編)
テテテテ、テテテ、デーデーン。
昼ドラサスペンスでは有名な音楽が聞こえる。
アラームの代わりとしたそれは普段だったら起きるのにまだ早いこの時間には迷惑なだけだった。
時刻は5:00を指している。
「今日か…」
せみの声が外から聞こえる中紫は楽しいようなようで先には心配しかないこの旅行を考えると複雑な心境になった。
欠伸と背伸びをしながら足音を立てないように慎重に階段を下りていく。
朝食は後でみんなで食べるという話だったためそのまま洗面所へ直行する。(夢霧は別)
「歯磨き粉ってアイスのチョコミントと同じ味だよな」
誰がいるわけでもない、寝ぼけ半分の独り言だった。
紫は高校になっても歯磨き粉が嫌いだった。チョコミントも嫌いだった。
顔を洗えばまるでさっきと体ごと変わったように目が冴える。
冷たい水はこの暑い季節には癒しだった。
手元にあった形態を開けば時間は5:15、間に合いそうだった。
気分で呟いたーを見てみると@baketu_kaburuという人も起きたようだ。
「紫おっそーい」
「遅いって俺時間通りに着たんだけど…」
「五分前行動って小学校のとき習わなかったの?」
「何でそんなけなされなきゃいけないの?俺は」
駅に着くと他の人たちは皆集まっていた。
時間通りに着たのに貶され理不尽だ、と紫はそっぽを向いた。
近くの売店で適当に食べ物を買ったが普段こんなところに絶対一人では来ないのだろう、朱音は食べ物の衛星状況が整っていないぞ、と言っていた。
「いやはや市販の握り飯とはこのようなものだったのか…」
「あーちゃん、握り飯じゃなくておにぎりっていいなよださいよ!」
おにぎりを一口で食べていきながら夢霧がいうと朱音は癖だといっていた。
「朱音っていつも思うけど言葉使い古いよな」
今まで気にしていたけど誰も口にしなかった言葉。(夢霧は気にしてなかった)
霧斗がおにぎりを食べながらさらりと言い放った。
朱音自分のことを馬鹿にされた、と感じているのか拳を震わせ霧斗をぎろりと睨み付けた。
「わ、あたしはお前らと違ってふざけた言葉使いをしていないだけだ決して古いとかそういうわけではない」
「へえ堅いなあ、まあ朱音さんの家はしきたり厳しそうだもんねえ」
挑発してる。
傍から見てもわかるほど霧斗の態度は露骨だった。
銀乃寺は早速持ってきていたバケツをすっぽり被って防御体制に入っている。
- 仲良し軍団?いいえ秘密結社です ( No.31 )
- 日時: 2012/06/29 16:23
- 名前: 生卵。 ◆l5afVy7QjU (ID: jJL3NZcM)
- 参照: エピソード5.
■新幹線ではお静かに。
「おい、あたしが我慢してやっている間に早く謝れ、そうすれば命くらいは助けてやるぞ」
明らかに怒気の含まれた声。
紫と夢霧は持ってきたバスタオルで身をくるみ、傍観者としてそんな二人を見ていた。紫は傍観者というより見守ることしかできないだけだったのだが。
「いやあ別に僕は悪いことしてないですから」
霧斗が馬鹿にしたように肩をすくめる。
沸点の低い朱音はピキッと青筋を立て、刀を鞘から引き抜いた。
あいにく今日の新幹線は乗客が少なく、この車両は特に少ないようで朱音が抜刀したことに気がついた人はいないようだ。
『あははは、面白いね霧は本当にあーちゃんと仲いいよね』
『夢霧あれは違う、あれは中いいとかそういうレベルじゃないよ夢霧さん。あれはもっとこう別次元の問題であってもはや虎と竜だよ』
二人に聞こえないように顔を寄せ合いこそこそと話し合う。
そういえば数日前もこんなことしたなと紫は思った。
「こんなところで刀抜いたら大問題になっちゃうよ?良いのかなあ?」
そんなことを言いながらも実際挑発しているのは霧斗だった。
席を立ち、逃げる準備を済ませているのを見るとある意味で尊敬すらできてしまう。
『でも霧も本気であーちゃんと喧嘩したら瞬殺駄されるだろうね』
『お前弟だぞ?!』
『大丈夫大丈夫、霧は賢いから逃げられるって』
冷や汗をかきそうになる台詞をさらりと言いのけるのだから心臓に悪い。
銀乃寺は先ほどから眠っているらしく二人の行動に動じていない。
次の瞬間夢霧の横で朱音が立ち上がった。
まさかと思い紫が横を見ると先ほどまでいた人物はもうどこにもいなった。
「おいおい、流石に車内でこれはまずい——くないですね」
ぎろりと朱音ににらまれ何もいえなくなった紫。
こんなところで暴れられたら追い出されかねない、そう思い朱音よりも早く席を立ち霧斗を追って走り始めた。
「ここまでくればって紫、急にどうしたんだよ」
「急にどうしたじゃない。朱音が抜刀して車内を暴れたらそれこそ地獄絵図になりかねないぞ、海に行きたくないのか?」
「あ」
忘れていたのか。
まあ二人の喧嘩は日常茶飯事だ。感覚がいつもと変わっていなかっただけなのだろう。
はあとあきれたように額を抑えたため息をついて朱音を沈めるように説得した、かったのだが遅かった。
朱音はすぐ後ろで刀を振り上げていた。
きゃあ、それは紫の声でも霧斗の声でもなかった。乗客の声だ。
「うわああちょっと朱音、朱音さん落ち着こう?ね?はい、深呼吸。良いかまず刀を終え俺たち警察に捕まるから早く」
異常な焦り様の紫を見てふとわれに返ったのか自分の周りの状況を理解したのか朱音はあわてて刀を終った。
「もーお姉ちゃんってば玩具の刀がいくら精密にできてるからって遊んじゃだめだよ」
いつからいたのか朱音の横ではお菓子を口に入れた夢霧が立っていた。
夢霧のフォローにより、何とか円滑にことは収まった。
「ありがとな夢霧」
お礼を言うと照れたようなしぐさを見せる夢霧。
ちゃんとしたところもあるんだなと思った次の瞬間。
「まあ始めからああなる事とはわかってたし、まあお菓子一か月分で良いよ」
そういえば規格の時点で席の配置を決めたのは夢霧だった。
そう、霧斗と朱音を対になるように座らせたのは夢霧だった。
フリーズした脳内で全ての事が繋がるまで5秒ほどかかった。
「夢霧うううう!」
静かな車内に響いた紫の怒声。
電車内ではお静かに