コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- 仲良し軍団?いいえ秘密結社です【お知らせ】 ( No.39 )
- 日時: 2012/06/29 16:29
- 名前: 生卵。 ◆l5afVy7QjU (ID: jJL3NZcM)
- 参照: エピソード5.
■ボール注意報(後編)
「覚悟はできているんだろうな?」
背景が黒い。
そう感じれるほどに朱音から発せられるオーラは怒りを含んでいた。
朱音は自分の足元に浮いているボールを力強く鷲掴みにして勢いよく投げ放った。
「ぎゃああああ」
叫び声をあげ紫は間一髪でその球をよけたが腕にかすった所を見ると、薄いが赤くなっていた。
そんなことを確認している中後ろでバチンと音がしたため振り返ると霧斗がボールを握っていた
(よ、よく取れるな…ってそれよりおっれのポジション色々危ないだろ!痛い思いするのは必須だ、逃げよう)
そう考えた紫、しかし悲しいかなそれはもう遅かった。
霧斗と朱音の間に挟まれた紫に逃げる道はなかった。
まるで逃げるのを阻止するかのように飛び交う剛速球。
言っておくがこれはビーチボールだ、間違っても野球の玉やそういう類ではない。
「おい…っちょ二人ともやめ、ふごおあぁ!」
止めようとした矢先その球は紫の頬に当たった。
「criticalhit!」
「クリティカルヒットじゃない!人の顔に当てといてニコニコするな!」
人差し指を立ててまくしたてると霧斗はふい、とそっぽを向いてしまった。
義理里と悔しそうに唇をかみしめていると再びボールが自分の横を通り抜けた。
そっぽを向いていた霧斗は気が付かなかったのかそれは霧斗の頭に綺麗に当たった。
叫ぶまもなく霧斗は海へと突っ伏した。
突っ伏したと言うより飛び込んだ、と言った方が近いかもしれない、と言った勢いだった。
それで周りにいた人たちが気が付いたのか辺りはざわつき始めたいた。
ゆっくりと立ち上がった霧斗の表情は先程までの嫌味を含んだ笑みではなく、朱音同様怒りも含んでいるように見えた。
もうやだ、半泣き状態の涙ぐんだ声で頭を抱えてしゃがみこんだ。
頭上ではとてつもないボールが飛び交っている。
「はあ…こいつら」
あれからもう三十分ほどたっただろうか。
だがしかし状況は先程と変わっていなかった、
ただ空気の抜けた——否、穴が開いたボールがそこに二個ほど落ちているという状況が追加されただけだ。
大きい声で周りの人からの声援が増している。
それもそうだろう、もはや凶器のようにしてボールを投げ合っているのだ、一種のスポーツ観戦のようなものなのだろう。
だがその瞬間歓声がやんだ、朱音がばたりと倒れてのだ
辺りがざわめいたがそれもまたすぐ止まった。
「はーいそこまで!あとはまた今度やろうね」
夢霧が無邪気な笑顔でそう言った。
手に何やらよく分からない液体の入った注射器を片手に朱音の首値を持ってずるずるとパラソルの下まで持って行った。
「た…助かった」
そういって立ち上がった紫は自分をまきこもうとした霧斗に何か言おうとしたが霧斗が赤く腫れた手をさすっていたので止めておいた。
「平和だなあ…」
浮き輪につかまりぷかぷかと流されながら銀乃寺は呟いた。