コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: 仲良し軍団?いいえ秘密結社です ( No.4 )
日時: 2012/06/29 16:07
名前: 生卵。 ◆l5afVy7QjU (ID: jJL3NZcM)
参照: エピソード1.

■おはようございます。秘密結社でございます。(前編)

ここはとある街に設立されたかなり都会な学校。
右を向いても左を向いてもエリートエリート、エリート。
桜宮高等学園、名前は単純学園創設者の名字が桜宮だったから。

「ああ゛?先にぶつかっていたのはあんただろーが!」

ザワリ、校門あたりで聞こえた若干低めの女子の怒鳴り声。
このエリートでスーパーお嬢様しかいない学校にはずいぶん不適切だった。

皆の視線の先にいるのは長い髪をバサリと揺らし腰には帯刀。
男子生徒の胸ぐらをつかんで殴りかかろうとしている女子生徒の姿があった。

「こ、こら鈴木止めないか!」

教師の声はどこか怯えたように震えている。
彼も彼女の、朱音の腰につけられている刀に怯えているのだろう、否、朱音の周りはみんなそうなのだろう。
っち、舌打ちをして男子生徒の襟元を話すと周りを一度睨んでから校舎に向かって歩いて行った。

「ひゃー朝から煩い声出して周りに危害を加えて、良くできるよなあ?」
「そうだよねえ、まあ常識の範疇の人間がやるべきことではないよね、まず」

彼女を挟むように左右には若干背の小さめな少年少女が嫌味な笑みで話しかけている。
朱音は拳を強く握りしめ、怒るものか怒るものか、と必死に挑発に耐えている。
朱音の右側にいる少女、夢霧は何処に入っているのか大きな棒付きキャンディを取り出すと大きく口を開け一口にバリッと食べている。
一方反対側にいる少年はお菓子は食べていないが相変らず嫌味な笑みでこちらを見てくる、こいつは挑発の名人かなにかかと朱音は首をひねる。

「いやあでもやっぱりさあ、あーちゃんの生きた人切刀のあだ名も伊達じゃないかもしれないねえ…でも生きた喧嘩マシーンとかでもよかったんじゃないの?」
「黙れ」

ニヤニヤと少し語尾の伸びた口調で話しかけてくる夢霧を朱音は一言で押さえつけようとする。

「僕だったら人と衝突したくらいであんなに怒らないけどなあ?短気は損気、朱音は姉さん見習って菓子でも食ったらいいんじゃねえの」

馬鹿にされることに耐え切れなくなったように勢いよく刀を抜く。
シュン、と音がしたが人に当たったわけではない。

「これ以上ふざけたことを抜かすと切るぞ」
「「鬼ババア」」

声をそろえて言うと二人は二手に分かれて一目散に逃げ出した。
朱音の怒声が、朝の校舎前に響き渡る。

Re: 仲良し軍団?いいえ秘密結社です ( No.5 )
日時: 2012/06/17 02:04
名前: 生卵。 ◆l5afVy7QjU (ID: dD1ACbVH)
参照: エピソード1.


■おはようございます。秘密結社です。

「あいつら…また変なことしてるよ」

落胆の溜息、視線の先には彼の友人とも呼べる人物が三人。
一人は何やら物騒なものを持って走り回っているし残り二人はニヤニヤとふざけた笑みを浮かべながら巧みに逃げている。

彼、紫野紫はこの状況を止めることもせず呆れたように見つめるだけだった。

「おっ…おはよう」

消え入りそうな声、それはきっとこのことを言うんだろう。
紫の後ろにはすこしおどおど慌てたように下を向きズボンを握りしめる少年が居た。
彼はマイナス思考と言うより恥ずかしがり屋に分類されるのではないだろうか、紫は苦笑いをした。

「銀ちゃんそんなきょどらなくたっていいんだぞ、顔あげろ」
「い、いやでもだよ?僕の陰気くさい顔を見て紫君が朝から憂欝な気分になったらとか、僕が顔を上げたせいで周りに迷惑がかかったりとかしたらどうしようとか考えるとやっぱりなんだかもう」
「いや顔を上げるだけで憂鬱になったりしねえからな?むしろその考えがうっとおしいわ」

銀ちゃんこと銀乃寺は相変わらず俯いたまま長々と言葉を発した。
彼の周りのオーラはなんというかキノコが生えそうなくらいじめじめとしていた。
すかさずツッコミを入れて紫、しかしそれは銀乃寺にとっては逆効果だった。
うっとおしいと言われさらにジメジメオーラを増した。

「嘘嘘、嘘嘘大嘘です!銀ちゃんはうざったくもうっとおしくもねえよ?!」

両手をかをの前で勢いよく振り先ほどの言葉を否定する。
彼は少しだけ顔を上げちらりとこちらを向いている。

「本当?うっとおしくなかった?僕、」

もはや声が涙ぐんでいる。

「本当だよ本当!俺が嘘つくか?つかねえだろ」
「さっき大嘘ついてたけど…」
「さーせんっしたあぁぁ」

紫は自分の言葉の矛盾に冷や汗をかいたがどうやら誤魔化せた様だった。
銀乃寺の表情は先程より少し明るくなっている。

「それより朱音さん達こっちに向かって走ってきてるけど…」
「何っ?!」

銀乃寺の指さす方向に振り返ると憤怒の形相で朱音が走ってきている。
そのスピードの速さに二人も走り出した。

「あははは、おはよお銀君に紫い」
「おはようってそうじゃねーだろ!朱音を率いてこっちに走ってくんなよ!」
「悪いな紫、だが過ぎたことだぜ校舎までダッシュすりゃあ何とかなるだろ」

紫と銀乃寺を追い越し校舎に向かっていく夢霧を追うように紫も銀乃寺も走り出す。
後ろでは鬼が追いかけてきている、気がする。