コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 【オリキャラ】仲良し軍団?いいえ秘密結社です【募集中】 ( No.46 )
- 日時: 2012/06/24 18:33
- 名前: 生卵。 ◆l5afVy7QjU (ID: ltRlmf2I)
■雨音がはじけて消えてゆく
「喧嘩ねえ…」
独り言のようにつぶやく。
しばらく考えてはみるが相手がどのような人か知らない時点でそれは無意味だった。
「叶さんはさ、どうしてその人と喧嘩したの?」
黙り込むほかの人を気にしてか、叶に話しかけたのは銀乃寺だった。
少しおどけた様子だったが叶はため息交じりに言い始めた。
「実は、私ダンス下手でね…彼も練習に付き合ってくれたんだけどなかなか上達しないからきっと嫌気がさしたんだと思うの…ごめんなさい、まるで面識ないのにこんなこと相談しちゃって」
「あ、…いやいいんですよ俺たちそういう活動してるものですから」
取りつくような内容になってしまい紫は苦笑いでごまかした。
先程から自分と目が合うたび相手が驚いたように体を動かすのでフードを被り目元を隠した。
「でもさーそれが実力ならしょうがないんじゃない?運命って諦めなよ」
沈みかけてきた場の空気を壊すような、明るく無邪気な声。
しかし内容は相手にとってとても失礼なものなきがした。
「そ、そうだよね…ごめんね。やっぱり彼には断っておこうかな」
表情こそ笑ってはいるがそれと不釣り合いなほど声が沈んでいる。
叶にばれないよう肘で夢霧をつつくとにやりと笑っている。ただ単に相手をからかいたかっただけの様だ。
がくりと頭を落として呆れる紫。
「いや、あんたその人とやりたいんでしょ?それだけ伝えれば何とかなるんじゃ…」
「そんな簡単じゃないよ、彼だって結構怒ってたし私も逆上してならいいよとか言っちゃったし…」
「本当ですか」
「本当です」
確かにそれは仕方ない、と納得してしまった。
しかし気を取り直すように頭を左右へぶんぶんと振った。
「とにかくそのことを謝らないことには何も始まらないでしょ、俺たちも一応近くまでついてきますから謝ったらどうですか?」
「ゆ、許してくれるかなあ…」
頭を抱えて少しだけ俯く。
それを半ば強引に立たせて行きましょうと言って連れていた。
とはいえ道がわからないため旅館を出るところまでだったが。
「そうだよね、やっぱ行かないと駄目だよね」
ひとりでにうんうんと頷けば腹を決めたのか歩き出した
紫達もそのあとについて行ったが外に出た瞬間豪雨にやられた。
「つ、疲れた…」
傘は半分折れ曲がり所々びしょ濡れで着いたのは旅館から少し離れた小さな公民館のようなところだった。
おまけに季節が季節なだけ蒸し暑さは耐え難いものだった。
しかしその建物の中は外とは違い涼しく、とても快適な物だった。
正面からは分からなかったが随分と奥行きがありそれなりに広い建物なのだと実感した
体に着いた水を振り払うように服をはたいていると叶が小さくあ、と何かを見つけたように呟いた。
その視線の先には一人の男の人が居た、背はやや高く世に言う美形と言うものなのだろう何か違うものを感じとれた。
「あ、あと…えと明旺ちゃん」
弱々しい声で振ろうとした手は空中で行き場を失い戸惑うように指先が動いている。
こちらに気が付いたのか眉間にしわを寄せていた。
「叶、お前どこ行ってたんだよほかの奴等に迷惑かけるなよ」
棘のある言い方だった。
この外見からそんな言葉が出るのかと思い紫がまじまじと明旺を見ているとこちらを見てきたがその顔は叶に向けるものとは違い随分とさわやかな笑顔だった。
ざあざあと言う音が聞こえては消えてゆく。