コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: 仲良し軍団?いいえ秘密結社です ( No.6 )
日時: 2012/06/17 03:07
名前: 生卵。 ◆l5afVy7QjU (ID: dD1ACbVH)
参照: エピソード2.


■教えて!紫くーん!(前編)

「いやあ、今日の事業は実に怠かったねえ」
「もう高1の勉強は一年前にマスターしたってのによお」

秘密結社のアジト、それは巨大な海に浮かぶ要塞。
霧が立ち込める中ぼんやりと浮かぶそれはさながら悪魔の城、
なわけもなく秘密結社のアジトは学園の近くにある誰も使っていない建物。
つまり廃墟である。
廃墟と言われれば不気味だがここは少し前に秘密結社のメンバーで掃除し、新しい道具などもはこびこまれているため今ではただの娯楽施設だ。
勿論リーダーであるとはいえ紫野一人では道具などは用意できない。
そこで白羽の矢が立ったのは一応エリート軍団であるなかでも飛びぬけ金持ちエリートな生きた人切刀こと鈴木朱音だ。

電気が通っていない代わりに火のついたランタンを天井に何個もかけている。
そんな光の下、机に足をかけた状態で座りながら霧斗は今日の授業を思い出してやや大げさに肩を竦めてみせる。
横ではうんうん、と頷きながら夢霧がんまい棒を食べていた。

「夢霧と霧斗、来てたのか」
「紫い私ずっと待ってたんだからねえ」

少し立てつけの悪いドアを開けて紫が入ると待ちかねた、と言いたそうな顔で二人が顔を上げた。

「悪い悪い、って他の奴等まだ来てねーのか」

左右を見渡しても紫を含めこの三人しかいないのを確認し紫も席に座った。
先程近くのコンビニで買ってきたお茶を紙コップに入れて適当に二人に配る。

「おーありがとよ紫」

足をかけるのをやめ、配られたお茶を一口だけ飲めば霧斗は少しだけ口角をあげてにやりと笑い、紫に礼を言った。
横では夢霧がおかわり、といってコップを差し出している。

「お、お邪魔します」

室内に入ると遠慮がちにぺこりと頭を下げる銀乃寺に紫は苦笑いしていた。
気を遣わなくていいんだぞ、との意味を込めての苦笑いである。

「にしてもあーちゃん遅いねえ、食べ物がなくなっちゃうよ」
「姉さんは菓子食べすぎだろ…」
「これくらい普通だよ、普通」

机の端にはお菓子の袋やらゴミが山を作っている。
部屋に来たときにはまだ山なんてなかったのに、と紫は絶句した。

「遅くなった、すまない」

部屋に入るとほかの人がみんなそろっていることに少し驚いたようだったがすぐに謝罪の言葉を述べるとすぐさま席に座った。

「よし、じゃあやるか」

後から来た二人にもお茶を配布し終えると紫は立ち上がり、部屋の奥からホワイトボードを取り出してきた。
机の真正面にホワイトボードを移動させるとマーカーで質問会と書いて皆の方に向き直る。

「俺たち秘密結社について何か質問が有る奴いるか?」
「はあい、居ます居ます、ここに居まーす」

手を上げてぴょんぴょんとアピールする。
そこまでしなくてもいいだろ、と思ったが夢霧の性格上仕方ないことだった。

「はい如月さん質問を言いなさい」

わざと真面目口調で話す紫に馬鹿じゃないの、と遠慮なしに夢霧が言った。

「えっとねえ具体的には達たち何をするのかなあ?」
「もっともな質問だな…」

これは皆が気になっていたかことだった。

Re: 仲良し軍団?いいえ秘密結社です ( No.7 )
日時: 2012/06/18 17:03
名前: 生卵。 ◆l5afVy7QjU (ID: dD1ACbVH)
参照: エピソード2.

■教えて!紫くーん!(後編)

「俺たちのする事はだな…」

変なため方をする紫にしびれを切らしたように朱音が軽く机をたたく。
ゴホン、と咳払いをして紫は気まずそうな表情を作った。

「特に決まってないんだよな」
「「「「はあ?!」」」」

苦笑いする紫。
怒りを露わにした朱音は机を勢い良くたたいた、その直前ほかの三人はコップを持ち上げお茶がこぼれるのを阻止した。

「ふざけるなよ紫!あたしは貴様がしつこく頼んでくるから入ったのに秘密基地ごっこをする為だったのか?」

今にも刀を引き抜きそうな朱音を必死で銀乃寺が抑えている。

「これに関してはオレも朱音に同意見だぜ」
「私も右に同じくってところかな!」

流石の霧斗も少々呆れ顔をしている。
銀乃寺に至ってはどうすればいいかわからずおろおろしている始末だ。

「落ちつけよ朱音、特に決まってないってそういうことじゃねえよ」
「は?どういうことだ?」

意味の解らない紫の言葉に首をかしげる朱音。
紫の性格を知っている東雲兄妹は何となくわかったのかああ、と言って勝手に納得し始めている。
どうやら理解していないのは若干パニック状態の銀乃寺と朱音だけの様だ。

「俺たちがすることは人助けだ、ただ人助けって言っても何でもする訳じゃない、だから今はまだやることが無いんだよ」

「人…助け?」

落ち着いてきたのか銀乃寺が首をかしげている。
素っ頓狂な紫の発言が今一理解できていないのだろう。

「そんなこったろーと思ったぜ、まあオレは紫のすることは面白いって信じてるから手伝ってやるよ」
「私も右に…ってこのんまい棒美味しいね」

同意、そう言いたかったのだろうが口に入れた新作んまい棒の味に夢中になりそこからそれの感想になっていた。
朱音は少し考えているようだったが銀乃寺はキラリキラリと目を輝かせている。

「ぼ、僕なんかでも出来るのかな…今までいろんな人にばっかり迷惑かけてきたから、そのえっと…僕も協力するよ」

照れた様に頬をかきながら遠慮がちに銀乃寺は言った。
後は朱音だけだった。

「あーちゃんはどうするのお?やっぱり人助けは向いてない?それとも頑張っちゃう?」

ぴょんぴょん跳ねるように朱音の周りを歩き回る夢霧、その行動の速さとは裏腹に発言は実にゆったりとしている。

「はあ…ここまで協力したんだ、それに人助けも悪くない。これで名誉挽回生きた人切刀なんて言わせないぞ」

最後に行くにつれてやや自信ありげないつもの朱音になっていった。
ぐっと強く拳を握る姿が特に朱音らしい。

「よし、これで一つ目の質問は終了だな、別に何か質問ある奴いるか?」
「あーい、」

そういってプラプラと少しだらしなく手を挙げたのは霧斗であった。
どうぞ、というまでもなく霧斗は質問を言い始めた。

「どうでもいいけどよお、何でこの人選なんだ?オレが言うのもなんだがこの誤認色んな意味で収集付かねえ気がするぜ」
「うーん、そこは面白そうだったからだよ」

少し考えた仕種を取る紫だがすぐに顔を上げてさらりと言いのけた。
まあ入れてくれって頼むまでもなく言いに来てくれる奴もいたしなと付け足してニッと笑顔を向けた。

「まあ確かにな、面白そうっちゃ面白そうだもんなあ」

そういって霧斗は再び机に足を乗っけた。
どうやらもう質問者はいないようだ。

「じゃあ質問会終了!あとは各自で聞きに来いよ」
「あっはは、紫先生みたーい」

ちゃかす夢霧を紫が無視して本日の集まりは終わった。