コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

向日葵の破片。 ‐Himawari No Kakera。‐ ( No.115 )
日時: 2012/11/18 11:39
名前: 透子 (ID: VEcYwvKo)

第六話Ⅹ*ライバルは突然に


風は地面と並行に流れた。
京の漆黒の髪もその風にのっていた。


「……きょんちが,そういう事言うからっ」

美湖は地面に目を向け,涙声で言った。

「私は,余計にきょんちに触れたくなるのっ……」




『ほんと,なーんにも分かってねーのな。美湖ちゃんの苦しみは……自分が霊であること。言い換えると,大好きなお前に触れられないことだ』

壱知の言葉がまたしても蘇ってきた。
京の頭の中を行き来し鮮やかに色づいていく。

「……成仏,か」
「ん?」

風にのまれた京の声をかすかに聞き取り,美湖はふっと顔を上げた。

「成仏,できるように頑張ろうな」
「……っ,うんっ!」

こらえていた涙を流し,美湖は笑った。
京が大好きな,大輪の向日葵のような笑顔で。