PR
コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 向日葵の破片。 ‐Himawari No Kakera。‐ ( No.146 )
- 日時: 2012/10/14 18:36
- 名前: 透子 (ID: VEcYwvKo)
第七話Ⅴ*君に
侑の依頼を受けてから幾日か経った頃、美湖は休み時間に侑を見つけた。
「侑」
そっと侑の名前を呼ぶと、侑は振り返った。
声の主が美湖だと把握した侑は笑顔になり、美湖と一緒に屋上に上がった。
「壱知君ね、会うって。今日、学校終わった後に屋上で……って言ってるけど」
「へ? 今日? ……うん、分かった」
侑は寂しそうな笑顔をつくった。
顔にかかる髪をゆっくりと耳にかける、侑の動作は大人びていた。
「美湖……仲介任せたよ。お願いだから、壱知が言った通りに、私に伝えて」
「え……? うん、もちろん……」
キーンコーンカーンコーン————
戸惑う美湖の気持ちを断つように、始業のチャイムが響いた。
「あっ、やばい! じゃ、またね!」
侑はきびすを返し、教室へ戻った。
侑の顔には、先ほどの寂しそうな笑顔の跡は微塵もなかった。
PR
