第一話Ⅲ*別れ病院の壁はすべて通り抜けられた。106号室、228号室、513号室……手術室———。すべての部屋を確認し終えた後、美湖が行き着いたのは霊安室だった。「ここに……」霊安室の壁を通り抜けると、美湖が横たわっていた。その顔と体は見れたものではなかった。「うっ……」感じるはずのない吐き気に惑わされながら、美湖は霊安室を出た。