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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- 向日葵の破片。 -Himawari No Kakera。- ( No.17 )
- 日時: 2012/10/14 13:18
- 名前: 透子 (ID: VEcYwvKo)
第一話Ⅳ*別れ
きっと、何メートルも引きずられて————。
自分の悲惨な運命を恨んだ。
それとともに、洋平のことも恨んだ。
何で助けてくれなかったの————?
無茶苦茶を言っているのはわかっている。
洋平が、道路を横切る前に「来るな!」と言っていたことも記憶にある。
だけど……。
ふと顔をあげるとお父さんとお母さん、小さな弟に、おばあちゃん、それと洋平がいた。
泣いている人、黙って一点を見つめている人、それぞれだった。
その中で、洋平は下を向き、拳を握りしめていた。
今まで感じていた洋平への怒りは消え、美湖は洋平に駆け寄り、抱きしめた。
「大丈夫だよ」、と。
しかし、美湖の手は虚しく空をきった。
———もう、誰の体温も感じられないなんて。
孤独感が美湖を襲う。
こんなに近くにいるのに、洋平に触れられない事が、存在を認めてもらえない事が、こんなにも寂しい。
気づいて。
美湖の思いは、洋平には届かなかった。
それとともに、美湖も天国にのぼることができなかった。
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