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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- 向日葵の破片。 -Himawari No Kakera。- ( No.27 )
- 日時: 2012/07/28 19:28
- 名前: 透子 (ID: VEcYwvKo)
第二話Ⅲ*孤独×自立
洋平が、気づいてくれた。
私の、存在に————気づいてくれた。
この世界から存在を消された自分。
胸にしまっていた思いが、何年もの年月を隔てて伝わった気がした。
洋平と夏愛の子供にはひどい嫉妬感を覚えた。
『洋平にそっくりだね』
皮肉を込めて、そう声をかけた途端、瑠司は美湖を見て笑った。
ぱっと向日葵の花が咲いたように。
——この子なら。
美湖は得意なコミュニケーションをとり、自分の名前を瑠司に教えた。
「みぃー、ぐぉ!」
洋平の前で瑠司が名前を声に出したとき、美湖の心には、瑠司への憎しみも、瑠司を利用しようという気持ちもなかった。
ただ、洋平や瑠司に自分の存在を認められたことが何よりも嬉しかった。
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