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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- 向日葵の破片。 -Himawari No Kakera。- ( No.36 )
- 日時: 2012/11/18 11:15
- 名前: 透子 (ID: VEcYwvKo)
第四話Ⅱ*出会い
急に、京は振り返った。
「お前っ、何でついて来んの」
「え、ダメだった?」
京は言葉に詰まったのか、また前を向いて歩きだした。
少しだけ、風が吹いた。
その風に逆らう事なく、京の髪がゆれた。
「向日葵ってさ、儚いよな」
京がつぶやいた。
「背ぇ伸ばして、花開いてる時は綺麗だ。けど、さ、その分、散るときは、あっけない。そう思わないか?」
美湖は、夢を思い出した。
散っていく向日葵。
桜とは違い、向日葵は散るときには何の楽しみも与えてくれない。
「私みたい」
京が立ち止まり、ゆっくり振り返った。
京の優しい表情をみると、今までおさえていた気持ちが、音をたてて溢れだした。
「私も……っ、生きてる時に何もできないまま、消えちゃった……っ。ひくっ、きょん、ち、私ね、もっと色んな事したかっ、たの……っ」
京に言っても何も変わらない事は分かっていた。
でも、京なら、美湖の気持ちを受け入れてくれるような気がした。
「美湖」
美湖の顎から雫が落ちた。
目だけを動かして、京を見る。
「おいで」
それだけ言うと、京は神社の横にある家に入っていった。
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