コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

向日葵の破片。 ‐Himawari No Kakera。‐ ( No.78 )
日時: 2012/11/18 11:24
名前: 透子 (ID: VEcYwvKo)

第六話Ⅱ*ライバルは突然に


「はあ? って言われても……。そのままの意味よ……。お願い!」

友架は両手を顔の前でパチンと合わせ、少し前かがみになった。
前下がりの黒髪が邪魔をして、友架の顔が見えなくなる。

「なんで、俺?」

京は一番引っかかっていたことを聞いた。
友架が目線だけ上げる。

「そこ、言わせるんだ……」

友架はそうつぶやいて姿勢を正した。
しかし、目だけはどこか遠くを見ているようだった。

「好きだからよ。京君の事……。私ね、来月引っ越すんだ……。もし告白して京君がいいよ、って言っても……っきっと駄目になる。遠距離なんて、続かないもの。だから、今の……うちに、ね?」

形の整った口だけが動く。
京はその口だけを見ていた。

「いいけど」

京は何か言いかけた友架の言葉を遮るように言った。
友架は少し目を見開き、すぐに笑顔になった。

「やった、じゃあ、遊園地に行きたいから……9時30分に駅……ね! じゃーね!」

友架は言葉を京に押し付ける。
そして、軽いステップで教室を駆け出していった。


「強引」
京はふっと笑った。
友架が教室を出る際に『見えない友達もつれてくるのかしらね』とつぶやいたのを知らずに。