コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- 世界誕生から一週間後 1 ( No.25 )
- 日時: 2012/08/06 10:54
- 名前: とろわ ◆DEbEYLffgo (ID: WcizgKjn)
「世界が出来て1週間も経ったのかぁ。時間の経過は早いなー」
背伸びをしながら、精霊の大男ことパラケルススは言った。
水色の髪は昇ったばかりの日の光に照らされて、キラキラと反射していた。
「水も順調に流れてるし、しばらく休暇をとっていなかったからな。たまには休も「なーにサボろうとしてんだよ」「うぉっ!!」
背後から突然声が聞こえ、パラケルススははっと背後を振り返る。
そこには、水が流れるように力を使った精霊、ウンディーネの姿があった。
「やるなら一気にやっちまった方がいだろう。つーか大事なもの忘れてどうする」
ウンディーネがそう飽きれながら言う。
「例えば?」
「例えばって……。思いつかねーのかよ、火だよ火。火がねぇと困るだろう」
「……まさか、そんな大事なものを忘れていたとはな」
「全くだぜ」
ウンディーネはやれやれ、しょうもない奴だ、と呟きながら、人差し指の先で円をくるっと描く。するとそこから水の塊が現れ、じょじょに巨大化していく。それが段々と地面に下がっていき、それにウンディーネは腰掛けた。
「水っつーのはただ焼いたりするだけじゃねえ。生命の源————ようは魂にも火は必要だ」
「だからこと、『あいつ』に協力を要請する必要があるが……」
はたして協力してもらえるだろうか、と思っていた時に、ウンディーネはにやりと笑った。
「安心しろ。すでに頼んである。あいつとは友達だしな」
「おお、そいつは助かる!」
「ま、俺はお前が嫌いだけど、此処は気に入ってるし、早く過ごしやすい環境にしたいからな」
ウンディーネはパラケルススから目線を外してそう言う。
「そうそう。一回ここの様子を見てから俺らのとこに来るっつってたぜ。ま、もうすぐ来るだろうけど……」
そうウンディーネが言った後、二人の近くに火の塊のようなものが出現する。そうして、その塊はだんだんと変化していき、最終的に出来上がったのは小型犬ほどのサイズのトカゲであった。
「お、さっちゃん!」「おお、いらっしゃい」
二人はそれぞれ歓迎の言葉を口にする。ウンディーネはさっちゃんことサラマンダーのところに近づき、そうしてサラマンダーを抱いた。
「全く、先程もそうしたばかりではないか」
「いやー、最近さっちゃんと会う機会が減ってきてたじゃねーか。だからつまんなくてよー」
サラマンダーはくすぐったそうに目を細める。
一方、ウンディーネは普段の言動や態度が嘘のような、嬉しそうな、気の和らいだ表情をしていた。
「おいおい、いくら嬉しいからってオレを無視するなよ」
パラケルススがそう苦笑いをして言うと、サラマンダーはウンディーネに一旦下ろしてくれ、と頼み、パラケルススの方へと近づいた。
「——久しいな。相変わらず貴方は元気そうで何よりだ」
「お前も相変わらず堅苦しいなー」
そう言ってお互い笑う。
「しかし、よくこんな事に協力してくれる気になったよな」
パラケルススが驚きを交えてそう言うと、サラマンダーは苦笑いして言った。
「いや、ここはあそことは違って己の力が発揮できるからな。やはり、火の精霊として生まれたからにはその力を使いたいんだ」
「さっちゃんらしいよな。働きたいから此処に来たなんてさ」
ウンディーネがそう呟くと、全くだな、と笑いながらパラケルススは言った。
「まあ、そういう訳だ。早速作業の方に取りかかっても構わないか」
「おう! 宜しく頼むぜ」
「さっちゃんの活躍を目に焼き付けておかないとな」
そうして、サラマンダーは準備の方に取りかかった。