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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: ホシゾラ ( No.13 )
- 日時: 2012/11/19 20:57
- 名前: おかき (ID: iuj9z/RI)
私は生徒会長の事を信じていない。そして、これからも。
あの天文部視察から数日。会長が生徒会室へと来ることはなかった。
天文部部長の1年、神崎雪路。彼女は会長と以前から面識があったような口振りをしていた。
もし知り合いだったとして、会長にあのような口を利くとは一体どのような間柄だったのだろう。彼女は会長の本当の姿を知らないのだろうか。
ふとそんなことを、会長のいない定例会議の途中に考えていた。
「……報告は以上になります。それでは、他に何かあればどうぞ」
私 ——海藤泉水—— が片手に持っていた資料を下げそう言った後、切り出したのは峰藤さんだった。
「…あのー、諭吉さん?少し宜しいですか?」
「あっ、うん?どったの麗美ちゃん」
どうやら峰藤さんも、私と同じことを考えていたようだ。
「この前の天文部視察ありましたよねー?会長、あの部長さんとお知り合いなんですか?」
すると、金藤さんの動きが一瞬だけ固まった。しかしすぐいつものような笑顔に戻ると、
「あー……うん、まぁそうなんだけどね?オレも結構前に少し聞いただけなんだけどさー…」
言葉を濁した。それ程言いづらい内容なのか。
その場にいた全員が、金藤さんの次の言葉を待つ。
が、待つより先に、コンコンとノックをする音が部屋に響いた。
「失礼します…」と、ノックの主は消え入りそうな声で呟くと部屋の中へとやって来た。
聞かされていた予定到着時刻ぴったりだ。
「写真部部長、2-Cの若草栞です……生徒会の方たちにお願いがあるんですけど…」
その依頼内容も、既に情報を仕入れている。だがこれは義務だ。
「何なりと」
神をも騙す程の笑みを作り
「実は………部室から写真が盗まれたんです」
詐欺師をも欺く程の声でこう言うのだ。
「お望みならば。」
やはり、その表情も予想通りですね。
第四話前編・終
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