コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: ホシゾラ ( No.23 )
- 日時: 2013/02/04 20:21
- 名前: 伊織 (ID: 7m5t9Qek)
☆第5話☆
江野の私有物だという大きなピンクのリボンは、風斗の蒼っぽい髪によく映えた。
そして、意外に似合っていた(笑)
元より風斗は、風斗の妹である風花ちゃんとよく似ていたから、当然といえば当然なのだが。
神崎以外の女子達は既にかなり仲良くなっていたようで、カラオケへ向かう道で何かひそひそしていると思ったら、そういうことらしい。
つまりは、最初からこの確信犯(主犯は江野)は決めていたのだろう。
ちなみに、風斗の変身後を見て最初の30秒は何が何だか分からず、それから20秒後にやっと頭が回り始め、ここまで理解したのは風斗の変身後を見てから2分は経っただろう。
そのリボンも、風斗がジャニーさんズの歌を歌う頃には、江野のカバンの中だったけれど。
やはりカラオケに行こうと言った張本人江野は普通に上手かった。
東雲も何だかんだ言って高得点を叩き出し江野といい勝負になり、最終的には江野と同じ歌を歌い、結果引き分けになるほど。
風斗の歌唱力は…期待を裏切りませんでしたね、ハイ。
橋本はバラードがプロと見間違うほどで、この時点で最高得点。
風斗を上回り、江野と東雲を泣かせた。
おれもちょっと危なくなり、まあ部屋で一人これを聴いていたら…うん、泣いてたと思う。
おれはまあ、いつも通り良くもなく悪くもなく。
「あれ〜、上手かったのに太陽ちゃんあんまり点出なかったねぇ〜」と東雲には言われたが(太陽ちゃんは止めてほしい)それもいつも通り。
どうやらおれ、機械に嫌われてるようでして。
神崎も渋々一曲だけ歌ってくれた…洋楽を。
そして満点に限りなく近い点数を取りやがって——発音良すぎるしそれは反則だろ?
それからは高校生らしくバカ騒ぎして、普通に終わった。
駅で各自別れ…というものの、電車は同じで結局少し雑談した。
最初に電車を降りたのは江野と神崎。
そういえば生徒会長様が中学が同じ。と言っていたから、そこそこ近所なのだろう。
「じゃあね!またみんなでカラオケ行こ!!」
と手を降った江野と
「ありがと」
と小さく呟き少し微笑んだ。…ような気がした。
その微笑みが、少し、ほんの少し、あの娘に似ていた気がしたが、今のおれは目薬がほしいぐらい乾燥してまばたきを繰り返していたので、定かではない。
次に降りたのは東雲。
「美雨ちゃん、太陽ちゃん、風斗ちゃん、バイバーイ☆また遊ぼーねぇ☆」
とブンブン手を振る姿は高校生には見えない。
電車が発車しても手を振り続ける東雲に「心が和むね」と呟いたのは風斗である。
そして、その次の駅で橋本が降りた。
「…北嶋くん、日野くん、今日はありがとう。ま、またねっ」
ぺこっとお辞儀をした橋本を見て「心が和むね」と言った風斗の言葉は、おれには聞こえなかった。…ことにしたい。
終点でおれ達も電車を降りる。
ところで風斗は気付いているのだろうか。
おれが“風斗巨大リボン乗せ”の写真をケータイで撮ったことに。
…よし、これで風斗の弱みを一つ握った。
「太陽、どうかした?」
「いや、別に何もない」
暗くなり少し星が見える空の下、おれと風斗は今日のことを振り返っていた。
☆第5話☆
☆END☆