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Re: ホシゾラ ( No.28 )
日時: 2013/04/04 20:55
名前: おかき (ID: JBoBzSSK)



「…そういえば、東雲さんは宇宙人t「『ちゃん』っ!!!」……うん、そうそう、宇宙人ちゃんのことについて詳しいって聞いたんだけど…」


「ふん、そうらよー(訳:うん、そうだよー)」


「宇宙人ちゃんのこと、色々知りたいな。良かったら教えてよ」


「ほっけー(訳:オッケー)」



橋本が像と化してから数十分、いつまで経っても元に戻らない為風斗が興じた策がコレ。


宇宙人ちゃん系女子・東雲くらに語らせるという如何にも不安要素特盛りコース〜本日のおやつポテトチップス(ねぎ塩味)を添えて〜”


で、ある。




おれは堪らず風斗に小声で聞く。


「おっおい、大丈夫なのか?」


「え、何が?」


「いやだから、東雲にこの場仕切らせて…大丈夫なのか…?」


「宇宙人といえば文字通り宇宙の生物でしょ?なら、話は自然と天体の話になるんじゃないかな?」


…あ、ナルホド。


すると風斗は「それに」と付け足した。



「太陽だって結構宇宙人とか興味あるんじゃないの?」

そしてお決まりの風斗スマイル(レベル1)で止めをさす。


「うっ……」


まあ…、図星………かも、しれない。ええ、興味ありますとも。

おれだって男だ、少年特有の期待や夢やドキドキワクワクだって勿論備えてる、色々知りたいさ。それは認める、ただ…






ただ毎度毎度風斗スマイルのおかげで何も言えなくなるというのが気に食わないっ!!





「それじゃ、教えてもらおうかな。よろしく東雲さん」

東雲は軽く頷くと、口に含んでいたポテチ(ねぎ塩味)を飲み込んで話し始めた。




「んーじゃあねっ、まずはこの前の日曜日に会ったアントワネットちゃんの話からするけんねー」


え、アントワネット?







                 -数十分後-




「でねー、その後くらが『ジュース持ってくるべー』って言ってから部屋に帰ったらもうアンジョリーナはいなくなっちゃっててー。くら、あれれれれー?てなっちゃったんだわさー」




………。






「…おい、風斗」

「……何?」

「…やっぱ、東雲はちょっとキツいわ、色々と…」

「……」





結論、東雲の宇宙人ちゃんワールドは5分でも充分すぎた。(神崎はともかく、少なくとも江野は興味津々な様子で聞いていたようだが。)



まだ部活動の終了時刻まで30分ほど残っているが、どっと疲れた。もう帰りたい。



だがそこは我が幼馴染。おれをこのまま黙って帰すわけがない。

橋本、東雲ときたら、もうコイツらしかいない。




風斗がアイツらに向かって、ニコッと微笑みながらこう言った。

「…んー、じゃあ、まだ少し時間あるみたいだし…



































————神崎さん、江野さん。二人の中学時代の話でも聞かせてよ」





それまで橋本や東雲の話には一切興味の無い様子で、絶賛読書中だった神崎が、その一言でついにこっちを振り向いた。



「…何で?」
静かに、それでいて圧が感じられる返答だった。


「まあ…、あたしは別に全然良いんだけど……」

江野はそう言ってはいたが、本人もやはり神崎のリアクションを気にしているようだ。






…その後暫く間があったが、やがて神崎がゆっくり口を開いた。





「…それは、必ず今この場で話さなければいけない事?」


「いいや、全然。嫌なら嫌でも気にしないよ。








でもさホラ、同じ天文部の一員としてさ。もっとお互いの理解を深め合ってみたいと思っただけだよ。」







「————……良いわ。まあ別に隠している事じゃないし。」




…ついにきたか。コイツらの過去を知る時が。




神崎達の過去を知るということは、恐らく……。


そう思うと、何だか急に緊張してきた。自然と姿勢を正している自分がいる。


全員の視線が神崎へと集中していた。







…そして神崎が深く息を吸い込んだその時。



















〈♪ピンポンパンポーン———……〉




               「「「「!?」」」」





突然の放送。



えっ、ちょっオイ…。






〈————……ので、それ以外の生徒は一斉下校して下さい、繰り返します———…〉






「えっ……」

おれはただただ呆然としていた。


いやだって、これからって時にコレはっ…。





と、神崎がガタッと立ち上がった。


「…帰るわ、お先に」


「え、いや待てよっ!!」
おれはつい無意識に神崎を引きとめていた。





「…いずれ話すわ、       ———いずれね。」




そう言うと神崎はそのまま部室から出て行った。


江野も、神崎のこの行動には驚いたらしく、暫くボーっとしていたが、やがて急いで支度をし「じゃっ、じゃああたしもお先にっ!!」と神崎の後を追っていった。




















…“いずれ”。神崎はそう言っていたが、おれには少々不安があった。







もしかしたら、その“いずれ”はもう、来ないのかもしれないと。



…まあ、アイツがこの話を覚えているかどうかも心配な所だが。









と、神崎と江野が帰り、部室にいるのはおれ達4人だけとなったわけだが。


本人達がいなくなり、おれはようやく風斗へ問う。



「…風斗」


「ん、どうしたの太陽?」



「お前さっきの話、本当はアイツらからあの生徒会長の事色々聞き出そうとしてたんじゃないのか?」










「…さあ、何の事かな。さっき言った通りだよ。俺はただ皆と仲良くなりたかっただけ」


……ウソつけ。



というおれの心の声も、風斗スマイル(レベル1)によって見事打ち砕かれるわけなんだが。






















…あーもう、気に食わんっ!!!







神崎達の帰宅から暫くして、おれ達もその後下校した。

























               -数分前-








〈—————ただいまより、学年交流会へ向けての会議を行います。生徒会役員、学年交流会実行委員会及び関係者の職員は会議室へお集まり下さい。繰り返します———……〉















6話後編・終