コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: ホシゾラ ( No.6 )
- 日時: 2012/08/10 10:39
- 名前: おかき (ID: .LcVZmvG)
晴陽高校生徒会執行部。学業・部活・風紀、学校全体のあらゆる業務を任されている、晴陽高校の要。
そして特に近年の生徒会の活躍は、他の高校の教師たちの間でも噂となっている。
その最大の理由は、役員たちひとりひとりの個性と、教師陣や生徒たちからの絶大な支持があるからだ。
おれはまだ、入学式での挨拶や、新入生のための部活紹介の司会などでしかその姿を見ることは出来ていないのだが‥
それにしてもまあ、濃い。雰囲気が。
それぞれがそれぞれのオーラを纏っているというか、おれたち(おれ以外の)天文部員と同じような、単なる変わり者の集まりなのか。おれにはそれを判断する権利はないけれど。
まあ、そんな異質な集団が我々天文部の部室を視察する日が、とうとう明日に迫っていた。
すると、風斗が唐突におれに話しかけてきた。
「太陽、生徒会はやっぱり、ただの変わり者の集まりだったみたいだ」
今日はあの傲慢な部長様と江野雷來・橋本美雨・東雲くらの女子一同は、それぞれの用事で先に帰ったのだそうだ。おれは天文部の活動目的が未だに分からなかったため、仕方なく風斗と部室で時間を潰すことにしていた。
「ふーん……で、どんな変人たちなんだ?」
「言い方がよろしくねえな」
風斗は苦笑しながらも答えた。
「晴陽高校生徒会執行部。表だけ見れば、一見優秀な役員たちが優秀な活動をし優秀な実績を収めて教師らに優秀と評価されているだけの、ただの優秀四拍子だ」
おいおいそれだけでも充分変な集団だぞ。
というおれの心の中を察しることもなく風斗は続ける。
「だが、その優秀な役員たちが結構厄介な奴らばかりでさ。まずは‥」
風斗の話だとこうだ。
まず、生徒会長の炎藤京哉・3年生。1年の頃から会長を務めている文武両道なイケメン(らしい)。生徒たちには明るく気さくに振る舞っていて大人気なただのイケメン(ら し い !)なのだが、一部自分の気に入らない人物がいた場合は本性剥き出しになるらしい。まあ人間として最悪だな。部活では吹奏楽部の(これまた1年生の頃からの)部長で、3年連続で全日本の吹奏楽部の大会で晴陽高校を日本一に導いたのだと。
お次は、副会長の海藤泉水・2年生。次期生徒会長としての期待も高い人物。性格は炎藤とは違って裏表はなくていいのだが‥。如何せん冷酷なので怖い。おれも入学式での挨拶の時に、あまりに冷ややかな視線だったので凍死してしまいそうだった。目が合ったら石にされる。よし、あの人のあだ名はメデューサ様にしよう。それと剣道部の部長で、竹刀を持たせれば、そこらへんにいる最強のヤンキーとかも瞬殺(あくまで峰うち)にできるらしい。
書記の知藤優・1年生。1年生にして生徒会役員としての仕事を任された。おれと神崎と同じ1-Aで、確かこの間の新入生の実力テストで学年トップだったな‥(おれ?言うわけないだろ!)。だが、頭が良すぎるために、おれらみたいな奴たちの言っていることは絶対に信じない主義で、どんな手段を使ってでも、人間を正しい道へと導こうとするかなり我が儘な性格。科学部の部長。
会計の金藤諭吉・3年生。会長の炎藤と一緒に、1年で生徒会へ入る。メデューサ様同様、性格に裏表はない。飄々とした、今でいうチャラ男だな。毎回しょうもないダジャレを繰り出すとか。金が大好きらしい…会計になった理由は、まあ言うまでもなかろう。落語研究会部長。
そして最後、峰藤麗美・2年生。俺は最初見たとき、「この人本当におれらとひとつ違いか?」と疑ったぐらいの、大人っぽい容姿端麗な人物(‥おれは不覚にもときめいてしまった)。幼い頃は京都に住んでいて、今でも少し京都弁が残っている。性格は、普段はおっとりとした大人しい人なんだそうだが、よっぽどの事が起こると…… まあ、とにかくすごいらしい。華道部部長。
教師や生徒たちは、彼らの本当の姿を知らない。が、一部では彼らのその恐ろしい豹変ぶりを目の当たりにした者たちも少なくないとか。
表だけを知る者たちが彼らにつけた通り名は、その名も『最強の五藤』。
そして表も裏も知り尽くした者たちが彼らにつけた通り名は、その名も『最恐の五藤』。
どっちにしろ、彼らがこの晴陽高校になんらかの風を吹かせる日は、そう遠くもないのかもしれない。
以上が、風斗の長い長い調査結果だ。
‥それより、
「一体どこでそんだけの情報集めたんだよ」
まあ、その答えはわざわざ聞くまでもなかったのだが。
満面の笑みで一言。
「口が軽い取り巻きの女の子たちに聞いたんだよ」
…ああ、我が幼馴染よ。
第2話前編・終